4月21日(日本時間)未明に開催されたアップルのスペシャルイベント。発表された製品は事前にネットで上がっていた情報通りであった。しかし、それで「つまらなかった」という訳では全くない。むしろ期待以上の中身で、深夜にもかかわらず興奮してしまった。
最も驚いたのが、iMacだ。「複数のカラー展開」も事前の予想されていたが、まさかあんなビビッドな発色の7色展開だとは思わなかった。オレンジやイエロー、レッドなど、設置する部屋を相当、選んでしまいそうだ。
20年以上前、初代iMacが登場したころは美しい多色展開が魅力で、それだけでMacを購入したくなるほどだった。しかしその後、Macはシンプルな色合いに徹していた。
iPhoneでは色鮮やかなラインアップが特徴的だったが、iPadも昨年登場したiPad Airぐらいから多色展開が印象的になり始めた。
今後、アップルとしてはエントリーモデルは多色展開、プロモデルは渋い色合いというようなランナップにしていくのかも知れない。
もうひとつの驚きがデザインだ。これまでのiMacは背面が丸みを帯びていたが、すっきりとした平面に生まれ変わった。しかも薄い。横から見たら、キーボードをつけたiPad Proのようだ。
このようなデザイン的な変化は、アップルの自社開発チップ「M1」を搭載した効果が大きい。排熱部分が小さくて済み、またチップを載せている基板も小さい。M1に載せ替えたことで、デザイン的に新たなチャレンジができるようになったのではないか。 今回は24インチだが、今後、さらに大きな画面のiMacも登場してくることだろう。
また、昨年登場したM1搭載のMacBook Pro、MacBook Air、Mac Miniに関しては中身は爆速で使い勝手がいいものの、従来通りのデザインテイストを踏襲していたため、目新しさに欠けちょっとつまらない存在であった。しかし、将来的にM2が搭載されるあたりにはデザインを一新して生まれ変わると期待したい。
M1搭載デバイスの拡充で製品ジャンルの垣根はどうなる?
もうひとつ注目なのがM1を搭載したiPad Proだ。パフォーマンスも大幅に向上し、もはや「タブレット」ではなく「パソコン」の位置づけになってしまった。スペックも12.9インチで容量を2TB、5G対応にすると価格が28万円近くにもなる。
「iPadといえば高くて10万円ぐらいかな」という認識は数年前に吹っ飛び、持ち歩くのにも緊張してしまう価格帯となってしまった。
ここで悩ましいのが、MacBook AirとiPad Pro、どちらを買うと幸せになるのか。ということだ。どちらもM1を搭載し、サクサクと仕事をこなせるだろう。
MacBook Airは本格的なキーボードがついているが、画面をタッチしての操作はできない。しかし、複数のアプリを立ち上げ横断的に仕事ができて効率がいい。
一方、iPad Proはタッチパネルで直感的な操作が可能。ペン入力もしやすい。iPad OSで本当に俊敏に操作できるが、複数のアプリを立ち上げて横断的に仕事をするのがちょっと苦手だ。
結局、「どんな仕事をするのがメインになるのか」で、選ぶデバイスがきまってくるのだろうが、「キーボードで原稿を書きつつ、取材先で撮った写真を加工したり、動画の編集をする」となると、どっちを選ぶべきか本当に迷う。
「迷ったときは両方買う」のが正義であり、すでにMacBook Proを持っている自分としてはiPad Proも購入するつもりなのだが、「同じM1チップ搭載デバイスを2種類持つのもどうなんだろうか」とちょっぴり悩ましくなる。
ここまで来たら、MacBook Proでタッチパネルとペン入力をし、5Gで通信したくなるし、iPad ProでMacOSを使いたくなってくる。
アップルとしてはM1搭載デバイスを増やしていくなか、こうした製品ジャンルの垣根をどのように考えているのか。今後の商品展開がとても気になる今回の発表会であった。
2021-04-21 21:44:37