Apple独自のArmベースSoCである「M1」チップを搭載したMacでもLinuxを動作させることを目指すAsahi Linuxプロジェクトが、Apple M1への初期サポートをLinuxのSoCツリーに統合したことを発表しました。M1ブート環境への対応は、2021年7月頃にリリースが予定されているLinux 5.13カーネルで組み込まれる見通しです。
AppleはM1チップをはじめとするApple Siliconのコミュニティドキュメントを提供しておらず、LinuxカーネルをApple Silicon搭載Macで動作させるためにはリバースエンジニアリングに基づいたドライバの開発が求められます。
そんな中で発足したのが「Asahi Linux」プロジェクトです。Asahi LinuxプロジェクトはApple Silicon対応のLinuxディストリビューションを増やすことを目的としており、GitHub上で開発が進められています。
Apple Silicon搭載Macでの動作を目指す「Asahi Linux」が登場 - GIGAZINE
そして、arm-socカーネルツリーの共同メンテナーであるアーンド・ベルグマン氏が、4月8日の深夜にarm/apple-m1ブランチをfor-nextにマージしました。このarm/apple-m1にはあくまでもApple M1ブート環境の基本的な部分のみが含まれており、通常のOSに必要なすべてが含まれているわけではないとのこと。そのため、Apple M1ブート環境下でLinuxを完全に機能させて日常的に使うには、もうしばらく時間がかかると考えられます。
Asahi LinuxプロジェクトのTwitterアカウントは、2021年4月9日に「最初のM1サポートがLinux SoCツリーに統合され、Linux 5.13に導入される予定です」と発表しました。
なお、arm/apple-m1ブランチをマージしたからといって、確実にLinux 5.13に搭載されるとは限りません。Asahi Linuxプロジェクトを設立した開発者のヘクター・マーティン氏は「技術的には、リーナス・トーバルズ氏がマージを拒否する可能性があります。そのようなことが起こらないことを望んでいます」とツイートしました。
ただし、arm/apple-m1ブランチをfor-nextにマージできたということは、Linuxカーネルの開発に携わる20人以上のレビュアーから承認を受けたということなので、Apple M1へのサポートがLinux 5.13に実装されるのはほぼ確定だとみられます。