アプリストア分析会社Sensor Towerが発表した新しいデータによると、米国の消費者は2020年、iPhoneアプリに前年比38%増の平均138ドル(約1万5200円)を使った。この増加は主にパンデミックの影響によるものだ。1年を通じて消費者は仕事、教育、エンターテインメント、ショッピングなどのためにiPhoneを使い、ユーザー1人あたりのアプリ支出額は前年比42%増と過去最多となり、年間成長率も2016年以来の高さとなった。
Sensor Towerは消費者支出の増加傾向が2021年も続くと予想し、米国でアクティブのiPhone1台あたりの消費者支出は平均180ドル(約1万9900円)に達する見通しだとTechCrunchに話した。こちらも、少なくとも部分的にはパンデミックによる増加で、特にパンデミックが焚き付けたモバイルゲームへの支出の増加が要因だ。
2020年の米国におけるiPhoneアプリの支出増加は世界のトレンドを反映した。Sensor Towerによると消費者はiOSとAndroidアプリで過去最多の1110億ドル(約12兆2741億円)を、App Annieによると1430億ドル(約15兆8126億円)を使った。App Annieの分析には中国のサードパーティーAndroidアプリストアも含まれている。
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2020年の米国のiPhone消費者支出が最も多かった部門は、もちろんゲームだ。
米国ではデバイス1台あたりのモバイルゲームへの支出は2019年の53.80ドル(約5950円)から2020年には76.80ドル(約8490円)へと43%増えた。これは、44ドル(約4865円)だった2018年から53.80ドル(約5950円)だった2019年にかけての成長率22%よりも20ポイント以上高い。
米国のユーザーは支出額の大半をCandy Crush SagaやGardenscapesといったパズルゲームに使った。こうしたゲームは人々がパンデミックやそれに関連するストレスを吹き飛ばすのに役立ったかもしれない。この部門の支出額はアクティブなiPhone1台あたり平均15.50ドル(約1710円)で、カジノゲームの平均13.10ドル(約1450円)がそれに続く。こちらはコロナ禍で実際のカジノ場の閉鎖が影響した。戦略ゲームの2020年支出額も急増し、iPhoneユーザーあたり平均12.30ドル(約1360円)となった。
アプリ内支出でもう1つの大きなカテゴリーはエンターテインメントだった。劇場やコンサートホールが閉鎖され、かなりの数の消費者がストリーミングアプリに向かった。Disney+はパンデミックによる都市封鎖が始まるほんの数カ月前の2019年後半に、続いてHBO Maxが2020年5月に提供を開始した。
この部門のデバイス1台あたりの平均支出は過去2番目に多い10.20ドル(約1130円)で、2019年の8.10ドル(約895円)から26%増だった。参考までに、2018年から2019年にかけての成長率はわずか1%だった。
デバイスあたりの支出額のトップ5位に入った他のカテゴリーとしては、写真・ビデオ(56%増の9.80ドル、約1080円)、ソーシャルネットワーキング(41%増の7.90ドル、870円)、ライフスタイル(14%増の6.50ドル、720円)がある。
こうした支出額の増加はTikTok、YouTube、Twitchといったアプリと結びついていた。特に、Twitchでの2020年支出額は米国のiPhoneで前年に比べ680%増加した。一方、TikTokは140%の成長だった。ライフスタイルの部門では、バーやクラブが封鎖される中、消費者が都市封鎖の間に他人とバーチャルにつながろうとしたことを受けて、デートアプリが大きな成長要因となった。
全体として、2020年を特徴的な年にしたのは必ずしもどのアプリを人々が使っていたかではなく、どのくらい頻繁にアプリを使い、そしていくら費やしたのかということだった。
App Annieは以前、パンデミックがモバイルの浸透を2〜3年分進めたと指摘した。パンデミック前は1年のうちに支出が緩やかになる時期があったが、Sensor Towerは今日、特定のタイプのアプリ、特に2020年のゲームの支出に関して「季節性」の要素はなかったと指摘している。2020年はいつでもアプリに支出する年だった。