アメリカ・テキサス州で行われた陪審裁判で、特許を侵害したとしてIntelに対して21億8000万ドル(約2300億円)の損害賠償の支払いが命じられました。
集この陪審裁判は、積回路の設計・製造を行うVLSI Technologyが、特許を侵害されたとしてIntelを訴えていたもの。現地時間2021年3月2日、テキサス州の陪審員はIntelが2つの特許を侵害したとして、同社に21億8000万ドルの損害賠償を支払うよう命じました。なお、Intel側はVLSI Technologyについて、「製品を販売しておらず、特許訴訟以外に収入源を持っていない」と述べ、同社はパテント・トロールであると指摘しています。
Intelが特許侵害したとされているのは、2006年にPhilipsからスピンオフしたオランダのNXPセミコンダクターズが保有していた特許と、VLSI Technologyが保有する特許の2つ。NXPセミコンダクターズは、2015年にフリースケール・セミコンダクタを買収した際に、当該特許を取得していました。
2つの特許はどちらもコンピューターに搭載されるチップの消費電力を最小限に抑えるための方法に焦点を当てたものです。チップはクロック周波数を上げるとパフォーマンスが向上し、消費電力が上がります。これをベースに、マシンパワーが必要な場面では電圧を高く、電力を節約したい場面では電圧を低く設定するための技術的な手法が特許には記されています。
一方で、Intel側は2つの特許を侵害した事実はなく、独自の洗練された技術を用いて同様の技術を実現したと主張しています。しかし、陪審員側はIntel側の主張に納得しておらず、損害賠償の支払いが命じられることとなったわけです。
なお、Intelは民間から無作為で選ばれた陪審員が事実認定を行う陪審裁判ではなく裁判官のみが審理を担当する裁判官裁判を求める可能性があり、それに失敗した場合でも上訴するケースも考えられます。なお、海外メディアのArs Technicaは「陪審裁判による判決が支持されることとなれば、アメリカ史上最大の特許判決のひとつとなるだろう」と指摘しています。