Facebookは「AppleがiOSに加えようとしている変更は小規模ビジネスを破壊する」として大々的に反AppleのPRキャンペーンを行っていますが、同時に、擁護しているはずの小規模ビジネス側からの集団訴訟にも直面しています。訴訟の中でFacebookがターゲティング広告の精度が低いと知りながらも誇大広告を行っていたことを示す内部文書も公開されています。
Appleは2021年以降、App Store経由でアプリをインストール・使用する際に、ユーザーに対し「アプリがユーザーを追跡すること」の許可を求めるようソフトウェアアップデートを行う予定で、すでにiOS 14.4のベータ版では広告トラッキングを制限するためのポップアップが表示されるという仕様が実装されています。既存のインターネット広告は、アプリがサードパーティーCookieを利用してユーザーの行動や関心を追跡することで実現されているため、Appleの発表は広告業界を揺るがすものとなっており、収益のほとんどを広告事業から得ているFacebookにも致命的な影響を及ぼすとみられています。
このため、Facebookは2020年12月に「Appleがインターネットを悪い方に変える」「小規模ビジネスが大きな悪影響を受ける」という内容のPRキャンペーンを展開。大手新聞に全面広告を掲載しました。
また、ターゲティング広告の収入が広告収入全体の18%に到達したことを祝うメールの中で、このマネージャーは「最も人気のオプションは『インタレスト』と『行動』の組みあわせで、私たちは『行動』がガラクタだと知っていますが、それは広告主を誤解させることになるでしょうか?」とも述べています。インベスタービレッジはFacebookのマネージャーが重要なターゲティングデータを「ガラクタ」だと表現し、その精度に問題があることを認めていたと主張しています。
Facebookは内部文書の引用が文脈から外れたものであり、なおかつ内容は機密事項であるため競合他社が読むと被害が発生するという理由で文書の公開を抑制しようと試みましたが、裁判所によって主張は拒否されました。
インベスタービレッジの弁護士であるスティーブン・モロ氏は「Facebookは小規模ビジネスの友ではありません。広告主による集団訴訟の申し立ての詳細にあるように、Facebookが広告の精度をごまかし、従業員を失望させていました」と述べています。