アップルはiOS 14ではプライバシー保護のため、2021年初めから異なるWebサイトやアプリをまたいでユーザーを追跡する際には明示的な許可を得ることを義務づけると予告しています。そうした追跡プロンプト(追跡していいかどうかユーザーに許可を求める)が、一部アプリで早くも表示され始めたと報じられています。
米MacRumorsによると、先週配信されたiOS 14.4 ベータ1にて追跡プロンプトが確認されたとのこと。MacRumorsの読者フォーラムには、NBAアプリがユーザーの行動を複数企業のアプリやWebにわたって追跡していいですか?と許可を求めるスクリーンショットが公開されています。そこにはユーザーに「よりよくパーソナライズされた広告体験」を提供するため使われる、との説明も添えられています。
ただし、MacRumorsは今年9月にiOS 14がリリースされて以降、すでに一部のアプリはiOS 14.4 ベータ1の前にプロンプトを導入していることが分かったとも追記しています。あくまで追跡の許可を求めるのはアプリ開発者に課されるルールであり、自主的に早めに実装してもかまわないのかもしれません。
今月半ば、Facebookはアップルの新たな要件がパーソナライズド広告に頼る中小企業に損害を与えると主張し、複数の米大手新聞に全面広告を展開しました。さらに自社サイトのブログ記事では中小企業が収益のために(App Storeでの)サブスクリプションやアプリ内購入に頼ることを余儀なくされるとして、アップルの方針を「プライバシーよりも自社の利益のため」と批判しています。
これに対してアップルは「ユーザーのために立ち上がるという単純な問題です」と反論。「ユーザーは自分のデータがいつ他のアプリやWebサイトで収集・共有されているかを知り、それを許可するかどうかの選択肢を持つべきです。iOS 14におけるアプリのトラッキング(追跡)の透明性は、Facebookがユーザーをトラッキングしてターゲット広告を作成するアプローチを変更する必要はなく、単にユーザーに選択肢を与えることを要求しているだけです」との声明を出しています。
Facebookのアップル批判キャンペーンは、社内からも「同情的なメッセージで人々の後ろに隠れて悪事を働くことを正当化しているような気がします」など批判の声が上がっているとの噂もありました。アップルとFacebookとのプラバイシー保護を巡るやり取りを今後も見守りたいところです。