スペインの超現実主義者(シュールレアリスト)サルバドール・ダリは、20世紀に活躍した画家の中でも最も多芸・多作の芸術家の1人とされている。
派手な個性と巧みな技術力を前面に押し出した彼の作品の数々は、今も多くのファンを魅了し続けている。
そんなダリの全盛期に、ホールマーク社がクリスマスカードのデザインを依頼。だが当時のアメリカの一般市民にはあまり受けが良くなかったようだ。『Flashbak』などが伝えている。
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ホールマーク社、ダリにクリスマスカードのデザインを依頼
カードを送りあう文化の盛んなアメリカで、もっとも有名なグリーティングカード会社と言えば「ホールマーク」だろう。
創設者のジョイス・クライド・ホールは、ごく一般受けするものから、人気のキャラクターもの、芸術性の高いものまで、様々なタイプのカードを手掛けていった。
ピカソやセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなど生粋の芸術家はもちろん、当時人気だったサルバドール・ダリにもデザインを依頼した。
ダリは、ホールマーク社から契約依頼を受ける2年前に、Vogue誌の1946年12月号でクリスマスをテーマにした表紙を手掛けていた。現代芸術の先駆者として人気のダリの奇抜でシュールな作品は、アメリカ人に喜ばれるだろうとホールマーク社は考えたのだ。
ダリのデザインしたカードはあまり売れなかった
ホールマーク社と契約したダリは、複数のデザインを提供したが、顧客には不評だったようであまり売れなかった。
今度こそはとホールマーク社は1959年、再びダリと2回目の契約を交わしたが、ダリは10枚のグリーティングカードのデザインに対して同社に15000ドルの現金前払いを要求した。
結果、10枚のうち8枚がボツとなり、たった2枚のみがカードとして作成されることになった。
しかし、それらさえも売れ行きは芳しくなく、ホールマーク社はダリのカードを製品ラインから削除することになったという。
一方、母国スペインには多くのファンを持っていたダリ。バルセロナに本拠を置く製薬会社Hoechst Ibericaからは、1959年~1976年の間に顧客向けのクリスマスカード作成を依頼され、複数のデザインがカード用として作成された。
それら数点が、『Flashbak』で紹介されているが、いずれもコレクターにはたまらないアイテムだろう。