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AIを数ミリ四方のチップに搭載できるようになった

AIといえばクラウド上の大型コンピューターで動くもの、と思ってはいないだろうか。これまでの常識はそうかもしれない。しかし、来年からは違う。

エッジAIを開発するスタートアップ「エイシング」が、数ミリ四方の極小チップに搭載できるAIアルゴリズムを開発、2021年1月から提供を開始する。

ネット接続不要の「エッジAI」

AIには計算処理パワーやメモリ容量が必要なため、クラウド上のコンピューターに搭載されるのが今は主流だ。この場合、ネット接続を通してAIを利用するわけだが、そうなると通信速度による反応の遅れや、通信障害のリスク、通信費の増加といったデメリットが生まれてしまう。

これを回避するために、最近注目されているのが「エッジAI」だ。エッジ(edge)とは「端、縁(ふち)」の意で、私たちが使うデバイスや機械そのものに搭載されるスタンドアローン型AIを指す。

今回開発されたAI(正確にはAIアルゴリズム)もその一種。「メモリー・セービング・ツリー(Memory Saving Tree)」という名称通り、メモリを極力使用しない構造になっているのが特長だ。そのため、極小のマイコンチップにも乗せることができる。もちろん、一般のAI同様に様々な環境変化を学習し、賢くなっていく。

普通の家電品や自動車もAI化

ほとんどの一般家電品には、すでにマイコンチップが組み込まれている。今回開発されたAIは、それに実装できるという点で大きな意味を持つ。実のところ家電品だけでなく、ネット接続のない普通の自動車や、工場にある生産機械、スマートフォンやスマートウォッチなど、あらゆる電気製品に搭載できると言ってもよいだろう。

同社のニュースリリースによれば、マイコンチップ製造の大手Arm社が年間約220億個出荷するチップの、約92%に新AIアルゴリズム「メモリー・セービング・ツリー(Memory Saving Tree)」の搭載が可能だそう。また、同等スペックのマイコンならば他社のものにも搭載できるので、「市場の大半をカバー」できるとのことだ。

暮らしの中のあらゆる機器にAI搭載され、ユーザーのことを学習するようになる日は近いのかもしれない。



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