NECは2020年12月9日、ファクトリコンピュータ「FC98-NXシリーズ」の新カテゴリとして、IP5x準拠で塵埃(ちりやほこり)の多い過酷な環境下での利用が可能な「ファンレスボックスタイプ」新製品2機種(A22K、A29X)を発売した。小型の筐体で無線LANや3G/LTE、920MHz帯特定省電力無線による無線通信にもオプション対応し、製造/物流/交通/農業などのIoTエッジコンピューティング用途に適する。今後5年間で2万台の提供を目指す。
NECのファクトリコンピュータ新製品「FC98-NXシリーズ ファンレスボックスタイプ」
NECのFC98-NXシリーズは、製造現場や社会インフラなどのコントローラ用途向けに提供されているファクトリコンピュータだ。長期提供/長期保守、長寿命部品採用による24時間連続稼働、幅広い設置環境条件への対応を特徴とし、用途に応じてデスクトップ、ラックマウント、省スペースなどのカテゴリをラインアップしている。
今回はその新カテゴリとして、ファンレスボックスタイプを追加した。A22KモデルはCPUに「インテル Core i3-9100TE」(2.2GHz/4コア)を、A29Xは「Celeron G4900T」(2.9GHz/2コア)を搭載し、メモリ容量はいずれも最大32GB。サポートするOSは長期供給版のWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC。
NECのファクトリコンピュータ/FC98-NXシリーズ、各カテゴリの位置づけ
新製品はまず、FC98-NXの従来機(省スペースモデル)との体積比でおよそ2分の1(50%)という大幅な小型化が図られている。本体サイズはおよそ250×210×91mm(横置きの場合、ゴム足含む、突起部/コネクタ部を除く)で、重量は約4.7Kg(スタビライザー、壁取付けブラケットを除く)。横置き、縦置きのほか、壁面取り付けも可能だ。
既存の省スペースモデル(左、E23W)と新製品(右)との比較。体積比で約半分だ
またオプションにより、無線LAN(2.4GHz/5GHz帯)だけでなく3G/LTE、920MHz帯特定小電力無線を使った無線通信にも対応。設置環境に合わせて通信方式を選ぶことができる。加えて、PCI Express x16拡張スロット(ロープロファイル)を1つ備えており、オプションのI/O拡張ボードや増設LANボードのほか、各種機器の制御用ボード等も搭載できる。
設置場所を選ばない小型で無線通信対応の製品のため、NECでは主にIoTエッジコンピューティング用途を考えている。生産工場や物流倉庫、圃場(農場)、道路(交通)などの現場をターゲットとする。
ファンレスボックスタイプのターゲット市場。高性能CPUを搭載しており、カメラ画像や各種センサーデータの高度な処理にも対応
希望小売価格(税抜)はA22Kが25万1000円から、A29Xが22万1000円から。12月9日より受注を開始し、出荷開始は12月18日から。