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アップルの技術を結集した「HomePod mini」音質に満足

前回の記事はHomePod miniを取り巻く背景と、マーケティング的にこのタイミングで勝機があるのかという話をしてきました。今回はいよいよHomePod mini本体に迫ります。

HomePod miniのお尻からは布で巻かれた電源ケーブルが伸びていますが、その先はなんとUSB-C。HomePodのお尻からは直接壁のコンセントに差し込むケーブルが伸びていました。つまり電源パーツを内蔵していたわけです。

しかしHomePod miniはコンパクト化のために電源を外に出され、USB-CポートはiPad Airに付属する形でデビューしたアクセサリ、20W USB-C充電アダプタを接続します。取材によると、以前の18Wモデルでは電源不足になるのだとか……。

●16インチMacBook Proと同じアイデア

球体の上下をカットしたようなボディのHomePod mini。

上の平面には、HomePodと同様に、Siriの動作を表すタッチセンサー入りのディスプレーが配置されており、うっすらとボリュームの「+」「ー」が印字されています。その中央もタップできて、タップで音楽再生とストップ、長押しでSiriといった操作が可能です。また下の底面にはラバーが配置されていますが、そこまで滑り止めになるわけでもない、という印象です。また、この底面のカットには、オーディオ性能的な意味合いもあります。

HomePod miniの内部には下向きに配置されたフルレンジドライバーが埋め込まれており、底面部分には三角錐、アコースティックウェーブガイドが仕込まれています。下向きに発された音は、この三角錐に沿って全方位に拡がり、モノラルながら360度方向へと音があふれる仕掛けになっています。

HomePod miniは、いわゆる無指向性スピーカーで、「ここが音を聴くにはベストのポジション」というポイントを作らず、どこでもまんべんなく音が楽しめることを目的としています。後述のステレオペアにすると、ちょうどココという気持ち良いポジションがありますが、基本的には部屋を音楽で満たす目的のものです。これはHomePodも同じアイデアで作られています。

このフルレンジドライバーは、中音域を豊かで繊細に描き、ギターの音色は音の粒が揃い、また倍音もキレイに響くなど、満足度がとても高かったです。加えて低音域も、音が小さくても豊かに響き、音を大きくしても嫌な振動(ビビり)がありません。これは、フォースキャンセリングパッシブラジエータといわれる機構により、余計な振動なく、豊かな低音再生を実現しています。

このように低音を大きく出してもビビらないテクニックは、16インチMacBook Proに搭載したデュアルフォースキャンセリングウーファーと同じアイデアだと言います。振動をボディの中で打ち消しておくことで、低音は豊かなのに本体やテーブルがビビらない仕組みとなっており、結果的に低音に長けたオーディオ再生を実現するというわけです。

ただし、スピーカーを平面に反射させて音を広げるため、テーブルや台の上に設置する必要があります。壁にくっつけたり、吊ったりしても、HomePod miniのオーディオ性能が最大限に発揮されない点は、注意が必要です。

●Apple Watch用のSiP「S5」が音響を処理

アップルもグーグルも、スマートフォンなどの製品の技術的なトレンドに「コンピュテーショナル」というフレーズを多用するようになりました。一種のトレンドのようになっており、HomePod miniについても、コンピュテーショナルオーディオというフレーズで、あらかじめ最適なコンピュータ処理をした上でスピーカーから音を鳴らす仕組みを備えています。

驚くべきことに、その処理を請け負っているのは、Apple Watch Series 5やApple Watch SEに採用されたSiP「S5」でした。SシリーズのチップはこれまでApple Watchにのみ搭載されてきましたが、今回S5に搭載され、前述のコンピュテーショナルオーディオの処理、1つのドライバーでの再生、4つあるマイクによるノイズキャンセリングを伴う人の声の聞き取り、SiriやHomeKitなどの処理を受け持ちます。

HomePodは7つのツイーターと1つのウーハーでの音楽再生、6つのマイクによる空間把握など、より多くの処理をするため、iPhone 6と同じA8チップを搭載していました。HomePod miniのS5の方がプロセッサの世代は新しいのですが、空間把握によるサウンド調整はしないなど、オーディオ処理機能は少なく、HomePodが依然として上位機種という扱いは変わりません。

●ステレオペアは組みやすいが電源が邪魔

HomePod miniは、2つのスピーカーをペアリングすることで、右チャンネル/左チャンネルの役割を果たし、ステレオ再生をすることができます。設定はiPhoneのHomeアプリでできますが、多くの場合、2つめのHomePod miniを設定する際、設置する部屋を1台目と同じにすると、ステレオペアリングをするか尋ねられるため、簡単にコンビを作れます。

ひとまず、デスクに置き、MacのスピーカーとしてAirPlayでApple Musicを流していますが、80cmほど奥、肩幅より少し外側の幅に設置すると、音の広がりや包まれた感覚を最も強く感じられました。もちろん空間を満たすためのスピーカーではありますが、デスク上でステレオペアを設定すると、より奥行きや広がりを感じる音楽体験が手に入ります。

たとえばiMacなどの大きなディスプレーの下に置いてもオーディオ性能が損なわれない点は、HomePod miniの特徴かもしれません。iMacの背後にスピーカーを置くと、デスクスペースを有効活用できて良いのですが、背の低い小さなスピーカーでなければドライバーを隠してしまいます。

しかしHomePod miniの場合、音はテーブル面に向かって出され、反射して広がる仕組みであることから、HomePod miniの上半分が隠れていても問題ないのです。デスクをすっきりさせたいけど良い音は楽しみたいというニーズにHomePod miniは巧みにこたえてくれるのです。

デスクでは良いことが多いHomePod miniのステレオペアですが、一つ問題があります。付属する20W USB-Cアダプタはかさばるデザインで、コンセントまわりのスペースを大きく奪われてしまうのです。しかも2つ……。「電源が邪魔問題」は、デスクにおけるステレオペアの障害と言えます。

そこで、USB-Cが2つ出力可能で合計60W程度のサードパーティー製充電器を使うことで、この問題を解決する必要がありそうです。もちろんコンパクトで30W出力できる製品を2つでも良いのですが。

●リサイクルテクノロジーの意味

HomePodから実現してきたコンピュテーショナルオーディオ、S5チップ、20W USB-Cチャージャー、MacBook Pro 16インチの低音テクニック、Siriなど、HomePod miniは新製品でありながら、アップル製品のテクノロジーを上手く組み合わせて成立している製品であることが分かります。ここまで出所が分かる技術の組み合わせとなっている製品も珍しいのではないでしょうか。

製品の成り立ちにはこうした面白さがありますが、製品としては、小型で部屋を良い音で満たすという、ちょうどニーズに足りていなかった領域を押さえつつ、デスクでの上品なステレオスピーカーという新しい役割も担うもの。そんな存在は、HomePod以上に支持される領域が大きいのではないか、と思いました。



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