そろそろ2020年も終盤戦。今年もたくさんのガジェットが発表され、弊誌にてレビュー記事が掲載されました。そんな記事のなかでも、著者や編集部がイチオシと考える製品をピックアップしてもう一度お届け致します。これは2020年9月28日に掲載された記事の再掲載です。記事中に登場する価格や機能、画像などは当時のもので、現在は異なる可能性があります。
9月18日に発売された第8世代のiPad。短い時間ではありますが試してみました。基本的な仕様説明は既報で紹介済みと思いますので、本稿では同機に触れて思ったことを徒然と書いていきます。
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昨年、第7世代のiPadが発売された時にも言いましたが、「もうコレで充分だよね」という感想は今回も変わりません。デザインこそ旧型のままですが、10.2インチの画面はマルチタスクにも対応できますし、Apple PencilやSmart Keyboardも使用可能。第8世代ではさらにチップセットがニューラルエンジン搭載のA12 Bionicにパワーアップしていますから、事務作業における性能面で困ることはまずないでしょう。
A12 Bionicと言えば、2018年モデルのiPhone XSに搭載された7nmプロセスを採用したSoC。OPS(ニューラルエンジンの1秒あたりの処理回数)の5兆って数字は大きすぎてうまく想像できなかった記憶があります。
第8世代のiPadでベンチマークアプリの「Geekbench 5」を走らせてみると、CPUのスコアはシングルコアで1119、マルチコアで2742、Metalスコアは5422と出ました。もちろん、マルチコアやMetalスコアの数値だけでみると、Proシリーズとは倍以上の差があるのですが、使ってみた印象として実はそこまでの差はないのではないかな、という感想も少しだけあります。
例えば、30秒ほどの動画を撮影し、写真アプリに備わっている標準の編集機能で、フィルターや角度を調整して何秒かかるか測ってみました。すると大体20秒ちょっとで完了します。
同じ動画ファイルを用いて、筆者が普段愛用している2018年モデルの11インチiPad Proで──こちらはまだiPadOS 13のままでしたが──同じ編集を試してみると、30秒くらいかかったので、「あれ、負けているじゃん(汗)」とちょっと悔しかったです(まぁ、ヘビーユーズしているので、メモリの使用状況とか、OSバージョンとか、撮影した機材とか何かしらの条件が影響しているかもですが……)。ちなみに、こちらのGeeckbench 5のスコアは、CPUのシングルコアで1125、マルチコアで4594、Metalスコアは11324でした。
もちろん、ARやゲームだと差は出てくる部分もあると思いますが、ProでもAirでもない「iPad」といえども、基本的な事務作業に関して性能が足りなくなることはまずないでしょう。想定用途がメールやチャットの返信や、書類作成くらいならば、上位モデルを選択するよりもコストパフォーマンスが高いと思います。また、比較的短い動画編集などを含め、クリエイティブ系のアプリでも、問題なく使えるのではないでしょうか。
具体的に、iPad(第8世代)の価格は、最小構成の32GBモデル単体で3万8280円〜(税込、以下同)。Apple Pencil(第1世代)が1万1880円なので、セットにしても5万1060円。さらに、Smart Keyboardが1万8480円なので、こちらもつけたフル装備では合計6万8640円です。
このフルセット価格に関しては上位モデルにすると跳ね上がります。デザインが刷新された新型iPad Airもかなり魅力的なので、そちらを待つべきか悩ましいところではありますが、iPad Airがかなりお得とはいえ、最小構成でペンとキーボードを付けたら税込10万円超え。どちらを選ぶかは正直予算次第ではあります。
子どもに持たせるためや、在宅勤務のペーパーレス環境を実現するなど、限られた用途のために購入するならば、第8世代のiPadは引き続き、価格的に最も狙い目のモデルと言えるでしょう。充電ポートもLightningを採用していますので、ケーブル類がiPhoneと使いまわせるという点も経済的です。
ただし、iPadの最小構成であるストレージ32GBというのは、動画編集したり、クリエイティブ系のアプリをインストールしたりすると一瞬で使い切ってしまう容量ですので、正直頼りないです。もし「メールチェックや書類のデジタルサインなどに使う」といったように、割り切った用途で購入するのでなければ、+1万1000円支払って128GBを選んだ方が良いです、とはっきり言っておきます。
そのほか、体験としてiPad Pro / Airに見劣りする部分がもちろんたくさんあります。例えば、第2世代のApple Pencilが使えないので、ペン自体の充電がやや手間になりますし、カメラは8MPでやや写りが荒い。ディスプレイに関しても、フルラミネーションや、広色域、True Tone、ProMotionテクノロジー(Proのみ)などは非対応ですので、イラストを描く場合などでの使い心地には差があります。スピーカーも2基しかありません(Proのみ4基)。
どの用途でも使えなくはない、安くてオールマイティな端末ではありますが、上位モデルとの間には体験の質に差があると認識したうえで購入を検討して欲しいと思います。もしそうした部分にこだわるのであれば、最低でも新型iPad Airを選んだ方が良いです。
反対に、列挙した特徴に関して特に気にならない利用用途を想定しているのであれば、「買い」なデバイスだと思います。
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