米Googleはこのほど、機械学習を応用したシステムを構築するエンジニアに向けて、技術認定制度「Google Cloud Professional Machine Learning Engineer certification」を開始した。Webテストに合格すると、Googleが認定した「Professional Machine Learning Engineer」の資格が得られる。
今回始まった技術認定制度は、機械学習に関する技術を身に付けた人材を増やすことを目的としている。Googleは、Google Cloudのサービス群を活用して業務システムを開発する技術を認定する「Google Cloud 認定資格」を運営している。Googleによると、Google Cloud 認定資格取得者の87%が、自身が身に付けたクラウドシステムに関する技術に自信を持っており、71%が雇用主や顧客に認められて多くの仕事を受けられるようになった、あるいは業務の幅が広がったことが、第三者による調査で明らかになっているという。
今回運営を始める認定制度でも、認定資格取得者が雇用主や顧客に認められ、機械学習に関する多くの仕事を受けられるようになることを狙っていると考えられる。
Googleは今回の資格認定制度の特徴として、「MLOps」に関する技術や知識を問う問題を多く用意していることを挙げている。開発部門と運用部門が緊密に協力し、新機能の追加や不具合修正を迅速に行い、新しいサービスやソフトウェアを矢継ぎ早にリリースしていける態勢を作る「DevOps」というソフトウェア開発手法がある。数年ほど前から、DevOpsを取り入れる日本企業も増え始めている。MLOpsは、機械学習の分野にDevOpsを応用し、アルゴリズムの修正などの改良を加えた新しい機械学習モデルを次々とリリースしていける態勢を作ることを意味する。
Googleは今回の資格認定制度の試験のサンプルを公開している。このサンプルを見ると、業務上の課題を、Google Cloudの機械学習関連サービスなどを活用して解決する方法を問う問題が目立つ。そして、無理なく運用できる方法を選ぶことも重要なポイントとなっている。
Googleは、今回始まった試験を受ける前に、少なくとも3年の実務経験を積むことを推奨している。そして、その3年のうち1年間は、Google Cloudの各種サービスを活用してシステムを設計、管理する経験を積んでいることが望ましいともいう。
また、受験を目指すエンジニアには、Google Cloudの各種サービスの使用方法や構造などを解説したテキスト(GoogleがWebで公開している)で学習することや、実際に自身の手で操作して各種サービスを動かしてみることを勧めている。さらに、Googleの協力企業が提供しているWeb教材や、GoogleがYouTubeで公開している解説動画などの教材も用意しているという。
Webテストの試験時間は2時間で、登録料は200ドル(税別)。試験問題は全て英語。Googleが指定する条件が整った場所で遠隔監視を受けながら受験する。日本では指定のテストセンターで受験できるが、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に閉鎖している場所もあるため、状況の確認が必要としている。
Googleによると、世界中の全企業のうち3分の2以上が何らかの形で機械学習を業務で使用している。しかし、こうしたAI人材はまだ少なく、企業の情報システム部門の管理職は、機械学習に精通している人材を発見し、獲得することに頭を悩ませているという。