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世界初の折りたためるディスプレイ採用!PC、タブレット、ブックリーダーと自在に変身する「ThinkPad X1 Fold」を生んだ日本の伝統工芸技術

ThinkPadシリーズやYOGAシリーズを展開するLenovoは、世界初の折りたためる有機ELディスプレイを搭載したパソコン「ThinkPad X1 Fold」を国内向けに発売することを発表した。

13.3インチの有機ELディスプレイを折りたたむデザイン

曲げられる有機ELディスプレイの特徴を活かし、スマートフォンでは折りたたみデザインの端末がいくつか登場しているが、Lenovoから発表された「ThinkPad X1 Fold」は、13.3インチの有機ELディスプレイを搭載したモバイルパソコンで、パソコンとしては世界初の折りたたみデザインとなっている。

今回、国内向けに発表されたThinkPad X1 Foldは、今年1月、米ラスベガスで開催されたイベント「CES 2020」でお披露目されていたモデルで、10月13日から国内向けに販売される。

ディスプレイはOLED(有機EL)の特長を活かし、本体に合わせ、曲げられる

これまでLenovoはThinkPadシリーズなどの堅牢性に優れたパソコンを展開する一方、ヒンジ部分が反転するYOGAシリーズのようなユニークなパソコンも世に送り出し、新しい市場を創り出してきた。Lenovoとしては、今回のThinkPad X1 Foldで「Carry small, Use big」(「小さく持ち歩き、大きく使う」という意味)をキーワードに、「FOLD」(折りたたみ)という新しいカテゴリーを誕生させる構えだ。

多彩な利用シーンに対応

ThinkPad X1 Foldはユーザーの利用シーンに応じて、様々な使い方に対応できることを特徴としている。

まず、本体を拡げた状態の「ランドスケープモード」では、背面のレザーカバーのキックスタンドを使い、13.3インチの有機ELディスプレイを搭載した本体を立て、付属ののLenovo FoldミニキーボードをBluetoothで接続し、セパレートタイプのパソコンのように使える。

同じく本体を拡げた状態でタブレットとして使う「ポートレートモード」では、大画面を活かし、プレゼンテーションなどで資料を相手に見せたり、付属の「Lenovo Mod Pen」を使い、手書きで情報を描き加えたりできる。ちなみに、「Lenovo Mod Pen」はワコムの技術を応用したペンであり、一般的なタッチペンと違い、追従性に優れ、書きやすい。

本体を途中まで折りたたみ、クラムシェルのノートパソコンのような状態は、「ミニクラムシェルモード」と呼ばれる。折りたたんだ画面の上半分と下半分で異なるアプリケーションを表示し、マルチタスクで操作ができるため、上の画面でビデオ会議をしながら、下の画面でメモを取ったり、関連資料を参照するといった使い方ができる。

ミニクラムシェルモードではディスプレイの上半分でビデオ会議、下半分にビジネス文書を表示するといった使い方ができる

そして、ミニクラムシェルモードの状態で、画面の下側の部分に付属のLenovo Foldミニキーボードを載せると、マグネットで固定され、コンパクトなノートパソコンのような使い方ができる。

ミニクラムシェルモードでは下側の画面にWindowsのタスクバーが表示されているが、Lenovo Foldミニキーボードを載せると、独自開発のLenovo Modeスイッチャーにより、タスクバーの位置が自動的に上半分の画面に移動する。

同梱されるLenovo Foldミニキーボード。手前側にタッチパッドを備える

ちなみに、本体を持ち歩く時は、折りたたむ本体の間にLenovo Foldミニキーボードを挟むようになるが、キーボードはマグネットで固定されているため、落ちてしまうようなことはない。少し大きめのシステム手帳のようなサイズになり、携帯性に優れ、カバンの中にも収めやすい。

背面にはレザーカバーが装着される。本体の開閉に合わせて、レザーカバーの位置が動く構造

また、ミニクラムシェルモードから90度、向きを変えると、ちょうど本やノートのように、左右に開く「ブックモード」になる。このモードではその名の通り、電子書籍などを読む時に適しているが、Windowsでも左右の画面で異なるアプリを起動し、片方の画面でブラウザを表示しながら、もう片方の画面にSNSを表示したり、メールを確認するといった使い方ができる。

ブックモードでは画面を分割し、ビジネス文書を表示しながら、ほかのアプリで動画を再生することも可能

日本の伝統工芸のノウハウを活かした機構設計

ThinkPad X1 Foldが多彩な変化を実現できた背景には、ThinkPadシリーズなどで数々の名機を生み出してきた日本の大和研究所が約5年の歳月をかけ、様々な日本ならではの技術を駆使しながら、エンジニアたちが工夫を積み重ねてきたことが挙げられる。斬新なスタイルでありながら、ThinkPadシリーズとしての堅牢性や信頼性にも強いこだわりを持った製品として開発されている。

たとえば、ディスプレイを折り曲げると、どうしてもシワができてしまうが、何とか一枚の美しいディスプレイとして、使ってもらいたいということで、様々な素材を試し、有機ELディスプレイの耐久性やサポート材料の素材などを工夫。最終的にピッチ系カーボンの採用へとたどり着いた。薄くて強く、なめらかで均一なうえ、弾力性もある素材だが、加工にも独自の工夫を加えているという。

バッテリーや基板などは机の上に置いた時の上下のバランスなども考慮され、レイアウトされている

本体を閉じた時、どのようにボディを守るかも大きな課題となった。その課題に対するひとつの答えが背面のヒンジ部分を覆うパーツで、このパーツの形成には日本の三軸織物の技術がヒントとなっている。通常、竹製のカゴなどに使われる三軸織物の織り方を応用し、強いだけでなく、柔軟性に優れ、内部をしっかりと守れる構造に仕上げている。

この三軸織物の技術を応用したパーツは、日本でしか作れないそうだ。ちなみに、本体の折りたたみ回数は最低3万回の開閉に耐えられるように設計されているが、余裕を持たせているため、実用ではさらに多くの回数の開閉に耐えられるとしている。

また、ThinkPad X1 Foldは一般的なパソコンと違い、手に抱えて利用することがあるため、熱処理の工夫が求められた。熱を抑える一方、パフォーマンスも必要とされることから、寄木細工の構造をヒントに、ヒートパイプとヒートシンクを組み合わせ、必要以上に熱くならないように、効率の良い熱処理を実現している。

こうした様々な工夫により、ThinkPad X1 Foldは人がパソコンに合わせて使うのではなく、パソコンを人に合わせて使うスタイルを実現することを目指して開発されたという。テレワークやリモートワークなど、ユーザーがパソコンを利用するシーンが多様になっている今だからこそ、注目できるスタイルだといえるだろう。

Wi-Fiモデルだけでなく、5Gモデルも発売予定

今回発表されたThinkPad X1 FoldはWi-Fiモデルで、10月13日に発売される。価格は36万3000円(税抜、レノボオンラインショップ価格)からとなっている。5Gモデルもラインアップされているが、こちらの詳細は後日、発表される予定だ。



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