日本IBMは9月29日、「IBM Cloud大阪リージョン」(大阪リージョン)を開設し、運用を開始したと発表した。日本国内では「IBM Cloud東京リージョン」(東京リージョン)に続く2番目、グローバルでは7番目のマルチゾーン・リージョン(MZR)となる。
第2世代を迎えたIBM Cloud、その強みとは?
IBMのパブリッククラウドは、ミッションクリティカルなシステムにも対応する、高可用、高性能、高機能なクラウドサービスを提供する「Enterprise Grade」、Keep Your Own Key(KYOK)暗号化機能を含むセキュリティ機能を備え、規制の厳しい業界のコンプライアンスにも準拠可能な「Secure & Compliance」、オープン技術を活用し、エッジやマルチクラウドを含めた分散クラウドにも対応する「Cloud Services Anywhere」の3つの強みを軸に機能強化を図っている。
新たに開設された大阪リージョンは、東京リージョン同様にIBMで第2世代(Gen2)となるクラウドアーキテクチャを採用しており、IBM Cloud Content Delivery Network(CDN)のエッジ拠点数、選択可能なベアメタルのマザーボードの種類、プロセッサの種類などのキャパシティが増強され、仮想サーバのネットワーク帯域やデプロイ時間などのパフォーマンスが向上したインフラ。
また、大阪リージョンは東京リージョンと同じ複数のゾーンを採用したMZRと呼ばれる冗長構成を採用し、東京リージョンの各ゾーン(データセンター)との間だけではなく、IBM Cloudが持つデータセンターとの通信も無料で行うことができるという。
大阪リージョンの開設により、災害復旧の観点から東阪に拠点を持ちたいというニーズに応えるとともに、西日本に拠点を置く顧客は低レイテンシでIBM Cloudを利用可能となるほか、データセンター間の通信量は無料のため、海外に拠点を持つ顧客、遠隔バックアップや海外拠点との大容量データ転送などにおいて、通信料金を気にすることなく必要なデータを必要な場所に届けることを可能としている。
大阪リージョンでは、IaaSのサービスを同日から提供開始。その後、VMware Solutions on IBM Cloud、IBM Cloud Object Storage、IBM Power Systems Virtual Server (AIX, IBM i対応)、Virtual Private Cloud(VPC)を展開し、2021年第1四半期にはIBM Kubernetes Service、Red Hat OpenShiftのマネージドサービス、IBM Cloud SatelliteなどPaaS系のサービスを、同第二四半期にWatson系のサービスをそれぞれ展開し、PaaSのサービスは来年にかけて順次利用可能となる予定だ。