Facebook(フェイスブック)がOculus(オキュラス)ブランドからさらに離れようとしている。同社は、拡張現実と仮想現実について研究開発する社内の組織名を「Facebook Reality Labs」に変更することを明らかにした。これは、同社のAR/VR製品である、Oculus、Spark、Portalの各ブランドでカバーする組織となる。
同社のAR/VR研究部門は、2018年にOculus ResearchからFacebook Reality Labsへと名称を変更していた。その部門は現在、FRL Researchとして知られている。さらにFacebookは、同社が毎年開催しているVR開発者向けカンファレンスである「Oculus Connect」を「Facebook Connect」に名称変更し、今年は9月16日に完全にバーチャルで開催することを発表している。
OculusはFacebook内で、InstagramやWhatsAppのような注目を集める買収とはまったく異なる存在だった。独立した組織ではなくなり、社内の中核に深く組み込まれている。AR/VRの組織全体はCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の親友でもあるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が長年CEOを務めている。
今回の名前の変更はある意味、2014年のOculusの買収以来、AR/VRの世界におけるFacebookの製品の野望が大きくなったことを示しているに過ぎない。
FacebookはもはやVRヘッドセットだけではなく、拡張現実メガネも開発しているし、Spark ARを通じてコアアプリやInstagramにARソフトウェアを統合も進めている。さらにスマートディスプレイでのFacebook PortalでAR系の機能を試している。
数年前に数十億ドルを費やし、すでにいくつかの製品を持つ部門の最後に「ラボ」という言葉を加えることは、Facebookがそこに含まれるすべてのものが、「かなり実験的」「Facebookの収益にそれほど貢献していない」ということを示しているように感じられる。これらは将来のFacebookのムーンショット(壮大な目標や挑戦を意味する言葉)になりそうだ。
今回の一連の名称変更は、おそらく一部のOculusユーザーを動揺させるだろう。Facebookの評判は、PCゲーマーの間で特に強い影響力を持っており、一部のOculusファンはOculusブランドがFacebookの中核組織の下に入ってくることを示すどんなニュースにも概して不満を抱いている。先週同社は、Oculusヘッドセットの新規ユーザーはFacebookアカウントを使って同プラットフォームにサインインする必要があり、今後はOculusアカウントを段階的に廃止すると発表している。
現時点では、OculusはまだFacebookが販売するVRヘッドセットのブランド名であり、同社はOculusブランドを手放すことはないと主張しているが、同社の方向性としては将来的にはFacebookブランドに統合するつもりのようだ。