リコーは8月21日、脱炭素社会の実現に向けて、社会全体の再生可能エネルギー(以下、再エネ)活用の加速に貢献するため、ブロックチェーン技術を活用した再エネの発電から消費までをリアルタイムにトラッキングする電力取引管理システムを開発し、実証実験を開始したと発表した。
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同システムは、各再エネの発電拠点・消費拠点に設置した計測装置で、各拠点での発電量と消費量をリアルタイムに把握し、ブロックチェーン技術を活用することにより、拠点間の発電量の過不足を可視化する。これにより、電力を融通できる環境が構築され、天候などに左右される再エネ電力のリスクが分散し、再エネ電力の安定供給が可能になるという。
また、ブロックチェーン技術を活用すると、発電量や消費量が改ざんされることなく第三者が検証可能な形で記録される。同システムでは、限られた事業者のみが関わるコンソーシアムブロックチェーンを活用することで、不特定多数が参加するパブリックブロックチェーンで必要となるデータの確認プロセスや運用コストを削減し、エビデンスの生成コストの削減が可能だとしている。
同社は、このブロックチェーンに記録されたデータをエビデンスの代わりとして用いることが可能となれば、再エネ利用コストの大幅ダウンにつながると考えている。
今回同社が開始した実証実験は、リコーリースの発電施設が発電した再エネ由来の電力を、神奈川県海老名市の「RICOH Future House」や静岡県御殿場市の「リコー環境事業開発センター」で仮想的に消費し、その発電量や消費量をリアルタイムに把握しトラッキングするもの。同システムの安定稼働の実現に必要な要件や対策、課題抽出を行うとのことだ。
同社は今後、低コストで誰もが再エネを扱える仕組みの実現に向けて、パートナー企業との連携を強めていきながら実験規模を拡充していく方針だ。