世界有数のインスタントメッセージングプラットフォームでFacebook(フェイスブック)傘下であるWhatsApp(ワッツアップ)が、受信したメッセージの真偽を確認しやすくする新機能を一部の市場で公開した。
WhatsAppは、ブラジル、イタリア、アイルランド、メキシコ、スペイン、英国、米国のユーザーに対し、5回以上転送されているメッセージの横にある虫眼鏡のアイコンをタップすると、その内容についてウェブを検索・確認できるようにした。
WhatsAppが「ウェブを検索」と呼ぶこの機能は、テキストメッセージをブラウザ経由でアップロードするものだ。つまりWhatsApp自体はメッセージの内容を一切見ないと同社ブログで説明している。ちなみにこの機能は今のところ、画像とビデオの検索には対応していない。
この機能は実験段階ではあるが、WhatsAppのAndroid、iOS、ウェブアプリで利用できると同社は説明している。この機能は数カ月前からテストされてきた。今後、ほかの国にいつ展開されるかは不明だ。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が世界中で広がり、人々は友人や家族、同僚とこれまで以上にWhatsAppなどのメッセージングプラットフォームで連絡を取り合うことが多くなっている。この新機能は、こうした状況で公開された。
WhatsAppは近年、同プラットフォーム上での誤情報の拡散を防ぐ必要に迫られてきた。ここ1年間で同社は、情報の流れをコントロールするために新機能を導入したり制限をかけたりしてきた。
2020年4月にWhatsAppは、同プラットフォーム上でメッセージを共有できる回数を制限した。5回以上転送されたメッセージにはこの制限が課され、一度に1つのチャット(連絡先)にしか転送できないとWhatsAppは説明していた。その数週間後には「大量に転送される」メッセージの量が全世界ですでに70%減少したと発表された(未訳記事)。
またWhatsAppは世界各地のファクトチェック機関の協力を得て、口コミで広がっている情報を確認できるようにした(WhatsAppのFAQ)。
最近のWhatsAppが急いでタイムリーな対応をとっているのは明らかだが、アプリ上での誤情報はなくならない(ウォール・ストリートジャーナル記事)。例えばWhatsAppの最大のマーケットであるインドでは、数カ月前にインド政府の決定に関する不確かな説明や新型コロナウイルスの「治療法」がプラットフォーム上で拡散されていた。
テック企業が人間の愚かさと闘うためにできることはわずかだ。