SpaceX(スペースエックス)は、テキサス州ボカチカの同社打ち上げサイトで、次世代宇宙船Starship(スターシップ)を開発している。今日まで、同社はいくつものStarshipのプロトタイプを建造してきたが、Starhopper(スターホッパー)と呼ばれる1つ前のバージョンは、基本的にロケットの下の部分だけだった。米国時間8月4日、SpaceXは実物大のプロトタイプ(ただし最終バージョンに取り付けられる予定の先端のドームと下部の操縦翼面を除く)の初飛行を行い、同機はおよそ150メートルの高度に達した。
これは、この試験段階で建造されたプロタイプの中で、最も高く飛行したものとなった。Starship SN5と呼ばれるこの機体は、このシリーズでは5番目のプロトタイプとなる。しかしSpaceXは、現在の命名法則に切り替える前にStarship Mk1(マークワン)という名の実物大プロトタイプを建造しているので、今回のものが実際には6番目だ。これまでのバージョンは、タンクの加圧テストやエンジンの地上燃焼試験など、準備段階のさまざまな時点で失敗に見舞われている。
SN5は、実物大の機体として実際に飛行した初めてのものとなった。今週初めにエンジンの地上燃焼試験をパスしたことで、今回の短距離飛行試験への道が開かれた。このプロトタイプにはRaptor(ラプター)エンジンが1基だけ搭載されているが、完成形では6基のRaptorエンジンを搭載して、大きな推進力を発揮することになっている。同機は垂直に跳び上がり、垂直に着陸を果たした。こうした目に見える結果から、すべてが予定通りに進行したものと推測される。
Starhopperが同様の短距離飛行試験を成功させたのは、2019年8月のことだった。SpaceXでは、早ければ2021年中に軌道に載せる実際の宇宙船を使って、ペイロードを搭載した打ち上げという意欲的なゴールに向けて、Starshipの実用化を目指したプロトタイプ開発計画を積極的に進めている。Starshipは、将来のFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)ブースターを装着できるように設計されており、これを使って大きなペイロードを地球軌道、月軌道、そしていずれは火星軌道にまで運ぶことが予定されている。