医師と協力してがんを診断したりする医療AIの活躍に期待がかかるが、どの程度AIに頼るべきかの判断がむつかしいようだ。
また、AIの診断精度を高めようとすればするほど、医師はトレーニングデータの準備に時間と労力を割かなければなず、現場が回らなくなるリスクもある。
こうした課題を解決すべく、MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究チームは、最適な頻度で利用できるAIシステムを開発した。
AI利用の最適なタイミングを判断
システムを利用するうえでの最適なタイミングや時間は、医療チームメンバーの習熟度や時間的余裕などさまざまな要因によって異なる。
研究チームによるシステムは、運用しながら学習していくことで、特定のタスクをAIか人間、どちらが行うのがよいかを判断してくれるようになるとのこと。
同システムは、診断精度をできるだけ高めたいケースにも、医師の時間と労力を少なくしたいケースにも対応できる。
トレーニングデータが少なくても運用可能
実験では、心肥大の診断で人間とAIのハイブリッドモデルのパフォーマンスが、人間だけあるいはAIだけのときよりも8%優れていることが示された。
さらには、従来のものよりも少ないトレーニングデータと計算コストで、医療診断やテキスト/画像分類といったタスクを処理することもできたようだ。
今後研究チームは、放射線科医などと共同でシステムの診断精度を検証する予定。また、偏ったトレーニングデータからも学習できるようにすることも検討しており、医療AIを使いこなすためのハードルが下がりそうだ。