「アイルランド政府のAppleに対する課税の優遇措置は違法である」としてEU当局がAppleに対して追徴課税を命じていた件で、EU一般裁判所は「追徴課税の決定は無効である」という判断を下しました。
EUの政策執行機関である欧州委員会は、Appleとアイルランド政府との「不適切な関係」に対して「マックスフォース」を結成し調査を行いました。その結果、不当な税制優遇によってAppleに130億ドル(約1兆6000億円)の利益がもたらされたとして、Appleに追徴課税を命じました。しかし、この決定にApple、アイルランド政府はともに不服を申し立てました。
Appleがアイルランドで税制優遇を受け1兆6000億円の追徴課税を命じられた経緯とは? - GIGAZINE
EUの一般裁判所はこの件について「欧州委員会は十分な法的根拠を示せなかった」と指摘。欧州委員会による「アイルランド政府はAppleの子会社に対して不当な税制優遇を行っていた」という主張を誤りであると判断しました。
なお、欧州委員会ではAppleへの追徴課税命令と前後して、オランダ政府がスターバックスに対して不当な税制優遇を行っていたとして3000万ユーロ(約35億5000万円)の追徴課税を命じていましたが、こちらも2019年9月にEU一般裁判所により無効と認定されています。一方、ルクセンブルク政府によるフィアット・クライスラー・オートモービルズへの追徴課税については欧州委員会の決定が追認されていました。
スタバ35億円追徴は無効=フィアットへの課税は容認-EU裁判所:時事ドットコム