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楽天モバイル悲願の「iPhone対応」に一歩近づく

7月8日、楽天モバイルは「Rakuten Link」アプリのiOS版を公開しました。このアプリの登場により、一部のiPhoneでは「音声かけ放題」が実現。iPhoneへの正式対応や端末の取り扱いに向けて、一歩前進したといえます。

■国内通話かけ放題に必要な「Rakuten Link」

楽天は、自社回線を用いた「Rakuten UN-LIMIT」プランにおいて、国内通話かけ放題をうたっています。このかけ放題に必要なアプリが、音声通話やチャット、ビデオ通話機能を統合したRakuten Linkです。

スマホ標準の電話アプリを使う従来型の音声通話も提供されているものの、料金は30秒あたり20円で、かけ放題のプランは用意されていません。楽天モバイルの利用において、Rakuten Linkは必須といえる存在です。

他社との料金競争においても重要です。最近、ワイモバイルやUQモバイルは速度制限を1Mbpsに引き上げたプランを開始し、楽天に対抗しています。しかし楽天は自社回線エリアのデータ無制限に加え、Rakuten Linkにより音声もかけ放題であることが優位性になっています。

これまで楽天の自社回線サービスではAndroid対応が先行しており、Rakuten LinkアプリもAndroid版しかありませんでした。そこにようやくiOS版が登場したというわけです。

もう1つのアプリとして「my楽天モバイル」のiOS版もまだありません。このアプリがあれば、自社回線エリアかどうかの確認ができます。楽天によれば現時点で提供予定はないとのことですが、早めの登場を期待したいところです。

■それでもiPhoneは「動作保証外」

Rakuten LinkのiOS版は出たものの、楽天の自社回線サービスは依然としてiPhoneに正式には対応していないという問題があります。

楽天が公開しているiPhoneの動作状況によれば、1つ前のiPhone XS/XR世代、最新のiPhone 11世代では、Rakuten Linkアプリを含む主要な機能が使えるようです。

正式対応ではないが動作状況が公開されている

このページでは、iPhone XS以降のモデルが内蔵する「eSIM」で、楽天のプランをアクティベートできることが紹介されています。他キャリアで契約したnanoSIMカードを入れたまま、楽天の自社回線エリアではデータ無制限を使う「いいとこ取り」ができるわけです。

ただし、楽天が動作確認済みのモデルを含め、すべてのiPhoneは「動作保証対象外」であるとの注意書きが残っています。現状では動いていても、iOSのバージョンアップなどで使えなくなる可能性があることから、iPhoneをメインに使うことはおすすめできません。

楽天には、いますぐにでも「iPhoneの動作を保証する」と言い切ってもらいたいところですが、そのためにはアップルの協力を得るなど、いくつかのステップを踏む必要があるとみられています。

■新型iPhoneで楽天の参入はあるか

最近ではオリジナル端末「Rakuten Mini」の周波数対応で混乱を巻き起こすなど、楽天のキャリア事業にはまだまだ不安定なイメージは拭えないものの、少しずつ改善が進んでいることはたしかです。

楽天の自社回線エリアも、東名阪以外へ徐々に広がっています。先日訪れた沖縄では、ビジネスや観光で訪れる機会の多い那覇の中心部が楽天のエリアになっていました。筆者は自粛期間中にメインのSIMを小容量のプランに変えて節約していたこともあり、まさに渡りに船でした。

那覇空港はauによるパートナーエリアだったが、県庁前など中心部では楽天エリアに

楽天の契約申し込み数は6月末に早くも100万回線を突破。1年間無料のサービスは先着300万名としていたので、3分の1が埋まったことになります。楽天が事業の損益分岐点として掲げる700万回線の獲得に向けて、有料化のタイミングでユーザーを逃さないためにも、iPhoneへの正式対応は必須といえます。

楽天による5Gサービスの開始は6月から3ヵ月を目処に延期されましたが、次のiPhoneも5G対応が期待されます。また、楽天の料金水準を考えれば、ワイモバイルやUQモバイルのように手頃な価格帯のiPhoneも取り揃えたいところです。

アップルのサイトには、iPhoneの仕様を示すページに大手3キャリアのロゴが並んでいます。次のiPhoneが発表されたとき、ここに楽天のロゴが加わるかどうか注目です。



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