6月30日に発表された、ミシュランの最新スタッドレスタイヤ『X-ICE SNOW』。その進化ポイントは日本の多くのスタッドレスタイヤと同様に氷上性能の向上だが、それだけではない。
同社の乗用車・商用車タイヤ事業部マーケティング部ブランド戦略マネージャーの黒谷繁希氏によると「氷上性能は今回も上がっている。加えて、雪上性能もあがっている」というのだ。
従来品『X-ICE 3+』に比べると氷上ブレーキ性能は9%高いが、さらに雪上ブレーキ性能も4%アップ。黒谷氏は「X-ICE史上いちばん止まる」と声高にアピールする。
そんな新タイヤを見て驚いたのは、トレッドパターンの激変だ。従来品X-ICE 3+をはじめこれまでのミシュランのスタッドレスタイヤのトレッドパターンは、四角いブロックを並べたようないわゆる「ブロック型」だった。しかし新製品X-ICE SNOWは「Vシェイプトレッドパターン」と呼ぶスタッドレスタイヤとしては全く新しいトレッドデザインを採用。見た目からして従来の製品とは大きく異なるのだ。
そしてこのデザインは、このところ注目されているオールシーズンタイヤに近いものである。黒谷氏によると「サイプ(表面にある細かい溝)の長さが従来品に対して28%増。エッジ効果を強化して氷上グリップに貢献しながら、しっかり雪にかみつく」という。
またコンパウンドには新開発技術の「エバー・ウインター・グリップ・コンパウンド」を採用。ポリマーをベースとした素材を練りこむことで、氷上ではベースコンパウンドの摩擦差により微小な凹凸を生成してエッジ効果と水膜を破る働きで接地することによってグリップを向上。雪上では雪を踏み固めて蹴りだす力を強めてしっかりグリップする効果を生んでいる。
練りこむ素材のベースをポリマーとしたことに関しては同社の製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニアである池田聡氏によると「コンパウンドに練りこむ素材の候補としてセラミックも考えた。(グリップ向上に)よく効くが、耐摩耗性や性能持続性などで求める性能に届かなかった」とのことだ。