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レビューを書いて、暗号通貨を貯める。「打倒・食べログ」を標榜するグルメSNSの勝算

「表参道、肉、ランチ」。その日そのときの外食に迷ったとき、スマホ上から冒頭のようなキーワードを打ち込み、飲食店を検索する人は今やほとんどだろう。

このビジネスモデルで思いつくのが、食べログやぐるなび、Retty。彼らの強みは、何と言ってもユーザーたちによる「食レビュー」だ。これを飲食店事業者へ「集客力の要」として提供し、ビジネスモデルを成立させてきた。しかし、近年は「口コミレビュー高評価」の検索結果に導かれて行ってみたものの、思っていた味に出会えず「ハズレだった」という経験をした人も少なくない。

そんな競合ひしめくレッドオーシャンに、「グルメSNS×ブロックチェーン」で風穴を空けようとしているサービスがある。グルメSNS「シンクロライフ」だ。

シンクロライフは、WEBや広告で埋もれた美味しい飲食店を食いしん坊たちが炙り出す「グルメSNS」。AIが口コミを分析して個人の趣味嗜好に合ったお店をレコメンドすることで、ユーザーは「口コミへの不審感」と「検索の煩雑さ」から解放される。現在、21万件の食レビューと10万件以上の飲食店が掲載されている。

同サービスの最大の特徴は「報酬制度」。世界で初めて食レビューでお店を応援することで暗号通貨(※)がもらえる報酬制度を搭載。また、シンクロライフ加盟店での飲食代金からも暗号通貨が還元されるため、飲食店はリスクゼロでプラットフォームを解放することが可能となっている。(※ 日本国内においては将来「シンクロコイン」へ1対1で交換可能となる「シンクロポイント」(ロイヤリティポイント)が付与される。以下同)

シンクロライフを運営するGINKANは6月2日、MTG Venturesをリードインベスターとするる第三者割当増資により、総額2.8億円の資金調達を実施したことを発表した。これで同社の累計での資金調達額は約4億円となる。

今回調達した資金はユーザーの美味しいお店開拓のためのアプリ機能、飲食加盟店向けサービス拡充のための開発、サービス認知拡大とユーザー獲得におけるマーケティング費用等に使用する予定だという。さらに成長スピードを上げてサービス拡大を狙うGINKANだが、食べログやぐるなびへの勝算をどう考えているのか? 代表である神谷知愛に話を伺った。

「良質な食レビュー x レコメンデーション」による新たな進化

「グルメサイトの多くが、Web上におけるマーケティングの進化の賜物だと思っています。一方で、マーケティング費用やノウハウがない飲食店事業者にとっては、どんなにおいしい料理を提供しても評価されづらい現状がありました」

本当に美味しい店は、検索結果に出てこない。この状況を打破するには、飲食店側と美味しい店を探すユーザーの間にあるべきマーケティングを整理する必要がある。その課題解決の一手になると考えたのが、SNSだった。

「ネット検索以外で飲食店を探すとき、親しい人や食の趣味が近い人に尋ねることがほとんど。ならば、メディア型ではなく、自分に近い人と情報交換をしやすいSNS型のほうが、本当に美味しい店と出会える確率が高まるのではないかと思ったんです。

また、飲食店事業者のなかには、食レビューに対して不信感を持っている人も少なくありません。しかし、悪気があって書き込んでいるわけじゃないユーザーもいる。シンクロライフの場合、SNSであることから、自分のリアルな知り合いや価値観の近いフォロワーに向けて食レビューを書くことになります。つまり、悪質な食レビューは書き込まれにくい風土がすでに整っているわけです」

シンクロライフでは、SNS内に導入されたAIが、ユーザーの書き込みや行動履歴、フォロワーとの関係性をもとに食の好みを分析。検索結果などをパーソナライズすることで”ハズレなし”のレコメンデーションが行われ、利用に応じてよりレコメンド精度が上がります。

そして現在、SNS内に掲載されている飲食店は約10万店舗。海外展開も視野に入れていることから、アプリは4言語に対応。世界155カ国にある「美味しい店」をレコメンドできる。

「各ユーザーが好みに合った飲食店へ訪れ、『美味しかった!』の喜びからSNS内に良質な食レビューを増やしていく。この『良質な食レビュー x レコメンデーション』こそ、グルメサイトにおける次の進化だと思っています」

食レビューの報酬は独自の暗号通貨

シンクロライフでは、値段に関わらず「美味しいもの」への探究心が強いユーザーを「食いしん坊」と呼び、彼らをターゲットにサービスづくりを行っている。そんな食いしん坊らをSNSに呼び込み、レビュワーとして継続利用させるために注目したのが、冒頭でも登場した「報酬制度」だ。

「どのグルメサイトでも、レビュワーになるユーザーは全体の3%ほど。なぜなら、彼らに対する報酬制度がないからです。そこで、シンクロライフではブロックチェーン技術を使い、レビュワーが良い食レビューかつ反応が高いものに対して報酬を支払うシステムを取り入れました」

「食レビューは楽しめるものであるべき」。しかし、報酬として導入されたのは現金ではなく、シンクロライフ独自の暗号通貨「シンクロコイン」。

「僕らとしては、とにかく、良いレビューを集め続けることが第一。報酬対価を暗号通貨にしたのは、世界中どこでも使えて、かつ共通の価値があるものだから。そのため、暗号通貨も、市場で取引されている時価総額で付与されるシステムになっています。売上と連動しているので、サービス向上とともにシンクロコインの価値が形成されます」

レビュワーは、食レビューに対するリアクションに応じてシンクロコインを貯めていくことができる。貯まったシンクロコインは、アプリ内でミスタードーナッツやドン・キホーテなどで使えるチケットを購入可能。実店舗で商品を受け取れる仕組みになっている。

「今後はSNS連携をさらに広げ、金融やギフト、旅行など、人が行動するすべての領域をつなきたいと考えています」

飲食店事業者とともに目指す共存モデル

では、シンクロライフの加盟店になることのメリットはどこにあるのか? 実は、シンクロライフの初期費用・月額費用はゼロ。さらに、加盟店向けアプリも無償で提供。”食いしん坊”たちが加盟店で食事した場合、会計金額1〜5%相当をサービス側が完全成功報酬型で支払うことで、プラットフォーム上でPRからCRMまでを活用できるシステムもある。

「僕は以前、飲食店事業者の販促をお手伝いする事業を10年ほどやっていました。1400店舗ほど担当してわかったのは、どの飲食店もメディア依存しているわりに、顧客来店データを持っていないということ。メディアを通じてクーポンやメルマガを配信しているけれど、肝心な『どんなお客様が何回来ているのか』がわからない状態でした。

僕らが目指しているのは、飲食店事業者と共存するためのビジネスモデルです。そこで、月額費用などを一切なくし、シンクロライフのユーザーを送客やCRMが稼働て初めてお金をいただく成果報酬制としました」

最近では、新型コロナウイルスの感染拡大による休業要請が飲食業界を悩ませている。このような事態で経営のスリム化を図った場合、真っ先にコストカット対象とされるのがマーケティング費用だが、シンクロライフはどうなのか?

「新型コロナウイルスによる飲食業界への影響は、とても深刻です。しかし、僕らのサービスは無駄な月額費用を排除しているため、継続していてもリスクがありません。つまり、不景気に強いビジネスモデルと言えます」



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