新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患しているかどうかをiPhoneで確認できるようになるかも知れません。米ユタ州立大学の研究チームが低コストで検査可能な携行型デバイスを開発中です。
低コストで素早く検査可能に
ユタ州立大学でマスフード・タビブアザル教授率いる研究チームが開発中の新型コロナウイルス検査デバイスは、わずか1インチ(2.5センチ)ほどの大きさです。iPhoneなどのスマートフォンにBluetoothで接続し、専用アプリを通してセンサーから唾液を読み取ります。電力はスマートフォンから供給されます。
新型コロナウイルス分子内のタンパク質に作用する、特殊な一本鎖DNA(アプタマー)が検査デバイスのセンサーには搭載されており、ウイルスを検知すると電気抵抗によってアプリ上で陽性が伝えられる仕組みです。
世界各地で現在活用されているPCR検査は、専用の綿棒を患者の鼻腔に挿入し粘膜を採取、研究所で調査するといったプロセスを踏まなければならず、結果が出るまでに4日〜7日ほど要すると言われています。一方でタビブアザル教授の検査キットは、唾液さえあればよいので綿棒は不要、しかも結果が出るまでわずか1分です。ウイルスは電熱で除去されるため、検査デバイスの再利用も可能です。
もともとはジカウイルス感染症向けだった
新型コロナウイルスが爆発的に広まったのは4月頃ですが、ここまで迅速なペースでプロジェクトを進行できるのは、この検査デバイスがもともとジカウイルス感染症向けで1年前から開発が行われていたからだ、とタビブアザル教授は話します。「旅先でジカウイルスを検知するセンサーを、人びとが自分たちで携行できるようにしたかった」。今回の新型コロナウイルス蔓延を受け、プロジェクトを急きょ変更したのだそうです。
現時点ではプロトタイプ作成段階ですが、消費者には55ドル(約5,900円)ほどで提供できると同氏は胸を張ります。7月中には医療機関での試用に入り、早ければ8月には市場への流通が見込まれているとあって、検査のあり方が近いうちに大きく変わる可能性もあります。