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Jazに対抗した低価格リムーバブルHDD「ORB」:スイートメモリーズ File013

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

「ORB」は、Castlewood Systems社が開発したリムーバブルHDD。以前紹介したJazと似たサイズでありながら2.2GBと容量が大きく、さらにドライブが2万9800円~、メディアは1枚4980円という価格の低さを武器に登場しました。メディアの形状が独特で、一般的な四角いものではなく、なんとなくホタテ貝を連想させるようなものとなっています。

Castlewood Systems社は、リムーバブルHDDを得意としていたSyQuest社の創始者であるSyed Iftikar氏が立ち上げた会社です。SyQuest社は、Iomega社とのリムーバブルメディア争いで最後までリムーバブルHDDを投入して対抗していましたが、残念ながら1998年に業務停止となり、その後破産。資産はIomega社に買収されました。

ORBが登場した1999年といえば、リムーバブルメディアの主流は低価格なCD-Rとなり、さらにその後継となるDVD-Rがチラチラ見えてきていた頃。リムーバブルHDDは若干時代遅れ感はあるものの、単価で光学メディアに太刀打ちできないとはいえ、速度面では有利というのは変わりません。

ORBはPC向けのメディアとしてはもちろんですが、ビデオレコーダー向けの録画用メディアも視野に入れていたのが新しいところ。この分野であれば、リムーバブルHDDの速度面の強みが活かせるだろうというのが、Castlewood Systems社の狙いだったのでしょう。実際、日本での製品発表時にこの点に触れられています。残念ながら、ORBを採用したレコーダーは発売されませんでしたが......。

さて、メディアについて見ていきましょう。直接競合する相手となるのは、2GBへと容量アップされたJaz。容量面ではわずかなリードですが、Jazが2枚プラッターとなっているのに対し、ORBは1枚という点がメリットです。プラッターの枚数はコストに大きく影響するだけに、価格面で有利だというのは間違いありません。

プラッターが丸見えじゃないかと一瞬ビックリしますが、実は透明なシャッターがあるので大丈夫。この写真の左端にある金属部分を押し込むことで、シャッターが開く構造となっています。プラッターは見ての通り1枚となっており、これがJazとの決定的な違いでした。

リムーバブルHDDの大敵となるホコリ対策としては、ドライブ側にクリーニング機構をもたせることで対応しています。メディアを分解してみましたが、小さいもののこちらにもフィルターが搭載されており、こういった部分にSyQuest時代のノウハウが活かされているのでしょう。

2000年6月には5.7GBの新モデルが発表され、11月の量産出荷が予定されていましたが、少なくとも日本では発売されませんでした。Wayback Machineで当時のCastlewood Systems社サイトを見ると、2002年あたりで販売していたような形跡は見つかるものの、他のサイトでは製品情報が見当たりません。画像検索でもショウや発表会場以外での写真しか見つからないため、発売されていたとしても、かなり限られた台数のようです。

光学メディアと違ってリムーバブルHDDはメディアの挿抜や振動などでヘッドとディスク面との接触が起こりやすく、これによるメディア不良やドライブ故障も少なくありません。また、2000年あたりはHDDそのものを挿抜できるリムーバブルラック(モバイルラック)が低価格に出回り始めた頃でもあり、サイズはともかく、価格、容量面でのアドバンテージがなくなってしまいました。

日本では新日エレクトロニクスがORBを販売していましたが、2002年2月をもってドライブの販売を終了。2003年10月にメディアの販売も終了し、市場から消えていきました。



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