【ロンドン時事】新型コロナウイルスは感染拡大の過程で遺伝子変異を繰り返しながらも、人への感染力が増したり、病原性が強まったりするような変化は今のところ確認できないとする研究結果を先週、英国の大学が相次いで発表した。このウイルスをめぐっては先に、変異によって二つの「タイプ」が併存し、後で生じたものの病原性がより高いとする分析を中国のチームが明らかにしていた。
ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、世界各地の感染者から採取され、4月19日までに国際データベース「GISAID」に登録された新型コロナウイルスについて、7666例の全遺伝情報(ゲノム)を調べた。その結果、塩基配列に単発性でない198の変異パターンが生じているのが分かったが、ウイルスの機能に明白な変化は見つからなかった。
研究チームのフランソワ・バロー教授は「これまでのところ、このウイルスの致死性や感染力が変化しているかどうか断言できない」と述べた。
グラスゴー大のチームも、ゲノム分析の結果、遺伝子の変異は蓄積されているものの、ウイルスの機能面で重要な変化が生じたとは考えにくいと指摘。現時点で病原性の異なる複数のタイプのウイルスが存在するとの見方を否定した。