4.7インチ Retina HDディスプレイを搭載した第2世代iPhone SEは高さ138.4mm×幅67.3mm×薄さ7.3mmというサイズで、初代iPhone SEよりも一回り大きくなっています。「なぜiPhoneは新モデルが出るたびに大きくなるのか」について、IT系メディアのArs Technicaが解説しています。
◆iPhoneが大きいほど収益が上がる
スマートフォン市場は飽和状態になっているため、iPhoneやAndroidスマートフォンの販売台数の伸びは鈍化しているとのこと。そのため、低価格のスマートフォンを販売した際の経済性は以前と比べて不利になっているといえます。
それでも、Appleは投資家に決算を発表し、好調であることをアピールする必要があります。「Appleは、少しでも収益が上がっていることをアピールするため、スマートフォンの単価を上げています」とArs Technicaは指摘。もし新しいスマートフォンの販売台数がそれほど芳しくなくても、1台当たりの価格が高ければ収益としては問題ないというわけです。
本体が大きくなるほど高価な材料や部品が多く使われます。逆に、本体が小さければ高価な材料や部品が少なくて済みます。スマートフォンが大きくなれば1台当たりの単価が上がるため、AppleはiPhoneのサイズを少しずつ大きくしていると、Ars Technicaは主張しています。なお、iPhoneだけでなく、Androidスマートフォンも年々サイズが大きくなる傾向にあるとのこと。
◆コンテンツやサービスが大画面向きになっている
Appleでは、iPhoneの販売台数の伸びが鈍化しているのを埋め合わせるために、iPhoneだけではなくAir PodsやApple Watchといったデバイス、さらにはApple TV+やApple Music、Apple Arcadeといったサブスクリプションサービスも提供しています。
Apple TV+で配信されているドラマを見たり、Apple Arcadeで配信されているゲームを遊んだりするためには、4インチディスプレイの初代iPhone SEよりも、6.1インチディスプレイのiPhone 11や6.5インチディスプレイのiPhone 11 Pro Maxの方がストレスなく楽しめます。
また、NetflixやAmazon Primeビデオなどの映像ストリーミング配信サービスも登場しており、より高い没入感が得られる大画面が求められているため、iPhoneが巨大化しつつあると、Ars Technicaは解説しています。
◆技術的な理由
iPhoneが巨大化する理由はビジネス関連のものだけではなく、技術的および設計上の理由もあります。新しいiPhoneを開発するたびに、スマートフォン開発企業は新しい機能やコンポーネントを追加するため、本体内部のスペースが必要となっていきます。
市場調査会社のSurveyMonkeyが2019年2月に行った調査で、「スマートフォンの購入時に気にするポイントは?」という質問に対してiPhoneユーザーの76%、Androidユーザーの77%が「バッテリーの寿命」と答えたとのこと。また、iPhoneユーザーの57%、Androidユーザーの52%が「カメラ」と答えています。Global Web Indexによるアメリカの消費者57万5000人を対象にした同様の調査でも、全体の77%がバッテリー寿命を、62%がカメラの画質を、52%が画面の解像度を気にしていたとのこと。