リモートワークのニーズが急増するなか、ストレージサービスとコンテンツマネジメント環境をクラウドで提供するBoxが記者会見を開催、リモート環境でのコンテンツ共有と管理を支援する同社のソリューションについて説明した。
Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長 三原 茂氏(昨年登壇時)
緊急事態宣言以降、Boxの共有やZoomとの連携は一気に拡大
緊急事態宣言の発令や出社7割~8割削減の要請が出る中、在宅での業務を迫られている企業勤めの人が急増している。それはBoxの利用状況にも表れており、2月最終週と比べて3月最終週のBoxのコラボレーター(共有)の利用は37%増加している。また、利用者が急増しているビデオ会議システム「Zoom」とBoxとの共同利用については、2月と比べて3月は6倍近い585%を記録しているなど、在宅でBoxなどのクラウドツールの利用が拡大していることを示している。
Box Japanではこうした状況に対応し、企業への支援策を発表している。特にIT環境が整っていない企業が多い中堅中小企業に対して、2020年6月30日まで無償で利用できる「フリートライアル」を開始しているが、その申し込み期間を4月30日まで延長した。
Boxでは、これまでも企業のデジタル変革において情報共有と管理の重要性を訴え、クラウドストレージにコンテンツ管理と企業内でのガバナンス、セキュリティを組み合わせた「ECM(エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント)」のサービスを提供してきた。また他の業務用アプリケーションとの連携にも力を入れており、在宅勤務やモバイルなど、会社という場所に縛られない働き方を企業に提供している。
「企業内のコミュニケーションの中心にあるものはコンテンツだと考えている。ビデオ会議でも共通の資料をもとに行なわれることが多い。コンテンツを安全に管理しながら活用することは、リモートワークの中で必要不可欠なことだ」と、Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長の三原 茂氏は説明する。
今こそセキュリティの考え方を変えるとき
これまでリモートワークに取り組んでこなかった企業も、今回出社自粛の要請を受けて急きょ対応に迫られている。連絡手段やオンライン会議などのツールの導入はある程度進んでいるが、社内にある重要ファイルをクラウドに置き、外部からアクセスすることにはいまだに抵抗も多い。だがコンテンツがなければ、上記の通り仕事の話もうまく進まない。
Box Japanシニアコミュニティマーケティングマネージャーの辻村孝嗣氏は、「これまでは会社という境界を設け、外部からの侵入を防ぐことがセキュリティ対策の中心でした。しかしそれでは『オフィスに行く』ということでしか重要情報にアクセスできず、今回の事態には対応できません。セキュリティに対する考え方を変えることが必要です」と語る。
考え方を変えるとはこういうことだ。同社では全ての社内データのBoxへの移行を推奨している。そのうえで社外秘の情報には強固なセキュリティを与え、公開情報は柔軟な共有が図れる機能を提供する。
情報がクラウドにあることで、社内でも社外(リモート)からも関係なくアクセスが可能になる。クラウド上に設けた認証基盤にログインして承認を受ければ、アプリケーションもコンテンツもすべてクラウド上にあるものを利用できるというのが、Boxの考えるリモートワークのあるべき姿だ。
また、フォルダごと、ファイルごとに細かく利用権限を設定できるのがBoxの特徴でもある。「情報漏えいなどの事故の理由で多いのは、実は社員のうっかりミス。どんなに注意していてもミスは起こる。それに備えるには、ファイルごとにアクセス制限を設定しておくことがもっとも有効だ」(辻村氏)
Boxが提供するコンテンツセキュリティの基本はウォーターフォール式で、上位のフォルダに設定したセキュリティの制限が、下位のフォルダにすべて設定される。それに加えて、管理者が個別のファイルに対してさらに強力なセキュリティ設定をあらかじめ付与することができ、社内ユーザーが誤って機密ファイルを外部と共有するフォルダに入れたとしても、外部者はそのファイルにアクセスすることができない。これらの機能で、クラウド環境でも安心してコンテンツの共有ができるという。