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億万長者を引きつけた植物繊維で作る代替プラスチック

メルボルンの小さなスタートアップで、2人の起業家がパッケージ業界に大変革をもたらす技術を開発している。

Stuart Gordon(ステュアート・ゴードン)氏とMark Appleford(マーク・アップルフォード)氏は、サトウキビの搾りかすをプラスチックの機能性を持つ紙のような梱包用製品に作り替える技術を開発するVarden(バーデン)を共同創業した。

この技術は、世界で最も裕福な人物のひとりである李嘉誠(リー・カシン)氏の財産管理も行うベンチャー投資会社Horizons Ventures(ホライゾンズ・ベンチャーズ)の興味を引き、彼らは220万ドル(約2億4000万円)の資金を調達した。

今は、新しい梱包技術を世に送り出す好機だ。EUは既に使い捨てのプラスチック製品を禁止する法律を制定し、2021年に施行することになっている。それが引き金となり、NestléとWalmartは、2025年から製品のパッケージに持続可能な素材だけを使うことを約束した。

梱包材が地球上の生物生息域に及ぼした環境破壊は、既に多くの人たちの懸案になっている。だが解決を急げば、消費者や企業に消費行動の変更を押しつけることになり、さらに多くの廃棄物を生み出すだけだ。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的パンデミックによる社会的距離の確保も、それに追い打ちをかける。

「私は二酸化炭素削減を主眼に置いた技術が好きです」とHorizons Venturesのオーストラリア代理人Chris Liu(クリス・リウ)氏はいう。

Intelやデジタル・デザイン・スタジオのFjord(フィヨード)に勤務した経験を持ち、テクノロジーとプロダクト関係の企業幹部を長年勤めてきたリウ氏は、つい最近オーストラリアに移住し、自身も電力会社の電気を使わないオフグリッドの生活を送っている。

西オーストラリア州に住み、国中で荒れ狂った山火事が彼の新居のわずか2km先まで迫るという体験をしたリウ氏には、気候非常事態は最優先事項としてダイレクトに意識にのぼる。

マーク・アップルフォード氏の場合、山火事よりも、彼が愛する海岸に絶え間なく打ち上げられるゴミのほうが切実な問題だった。

バーベキューでビールを飲みながら彼は、後に共同創設者となるステュアート・ゴードン氏に、もし物事を変える力があれば、環境問題の何を解決したいかを語り始めた。そしてプラスチックに行き着いた。

アップルフォード氏の洗濯室で、2人はVerdenにつながる技術の開発を始めた。2015年、洗濯室での初期の努力が少額のシードラウンドをもたらし、最初の製品を一部の顧客に渡してテストしてもらうまでの、長く厳しい道を進むことになった。

ニュージーランドの製造業者Fisher(フィッシャー)とPaykel(ペイケル)になんとか時間を作ってもらい、2人の共同創設者たちは初期のプロトタイプを作り上げた。砂糖の原料であるサトウキビの搾りかすから作ったバガス紙という再生材料を使ったコーヒーポッドだ。

「顧客からサプライチェーンへと、私たちは逆向きに作業をしました。そうして、人々がよく知っている製品を作ることができる材料を選んだのです」とゴードン氏は言う。

製造工程は、一辺が120cmのコンテナに収まるまでに進化した。この中には農業廃棄物を梱包材に変えるVardenの機械がすっぽり入る。



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