アップル製品初の LiDARスキャナ搭載や新スタイルの Magic Keyboard など盛り上がる新 iPad Pro (2020)に、ふと影を差す「でも今年は秋にもまた次の iPad Proが出るらしいよ」説。
3月末に出たばかりの新 iPad を検討する向きには実に悩ましいうわさですが、台湾の経済日報は21日付けで、「その計画もあったけれど、今年後半のアップルは 5G iPhone に注力して、次期 iPad Proは2021年春予定になるようだ」と伝えています。
「2020年は iPad Pro が2回モデルチェンジする」説自体は、3月末に現行の最新 iPad Pro (12.9インチとしては四代目)が発売される前から、主に台湾のサプライヤ筋をソースとして伝えられてきました。
5G対応iPad Proは早くも今年後半に発売? サプライチェーン情報(2020年1月)
実際に発売された iPad Pro (2020) は、新しい種類のARアプリを可能にする LiDARスキャナ搭載や、iPadとしては初の超広角カメラ、Wi-Fi 6など新機能に不足はない一方、プロセッサは2018年の前モデルと物理的に同じA12Zだったり(無効化されていたGPUコアをひとつ有効化したのでやや速い)、ディスプレイも従来と同じ Liquid Retina、カメラ周り以外の筐体もほぼ同一など、フルモデルチェンジと言えるかどうかは微妙なところです。
以前から将来のiPadで採用されるだろうと考えられてきた技術としては、新方式のミニLEDディスプレイや5G通信などがありますが、そのどちらも今年3月のモデルには含まれていませんでした。
新 iPad Pro 発表、超広角カメラ+LiDARセンサ搭載。トラックパッドつきMagic Keyboardも
第4世代iPad Proと旧モデル仕様比較。最小構成128GBに底上げ、価格は引き下げ
従来の iPadはおおむね、直接の後継モデルまで1年から2年程度のパターンを続けてきました(サイズ違いやAir / mini などライン違い除く)。もし「2020年には第四世代と第五世代が連続(12.9インチ基準)」になれば、2012年春に「新しい iPad」として発売されたものの、11月には後継モデルが出たため8か月程度で「新しくないiPad」になった第三世代 iPad (初 Retinaモデル) の再来になりかねません。
一方、この二段構え説が囁かれたのは、まだ新型コロナウイルスが世界中の製造業や物流に打撃を与える前。さまざまな製品が延期や量産体制の見直しといった受けており、これを受けて次の iPad Pro も後ろ倒しになる、いやならないと、著名なインサイダーやアナリストが相反する「リーク」や予測を繰り返す状況です。
といった流れで、台湾の経済日報がサプライヤ筋の情報として伝えたのは、アップルは新型コロナウイルスの影響で2020年秋の 5G iPhone (iPhone 12)ロンチを予定より数週ほど後ろ倒しするなどの影響を受けており、おなじく5G対応になると見られる新 iPad Pro も、2020年冬から2021年初頭にずれ込む見込みとのこと。
リンク先記事ではどのパーツはどこが受注したようだ、といった経済紙らしい情報は多いものの、iPad Pro (2021)の具体的な仕様については、一般的な予測のまま、5GとミニLED採用になるだろう、とするに留まっています。
もし実際に次期モデルが2021年ならば、買って一年も経たずに新型は心理的にちょっと、というかたには朗報である一方、見送って5Gモデルを待っていた、あるいは毎回買い換えるに決まってるから早く新技術を体験したいかたにとっては残念な知らせです。
とはいえ、すべてのうわさが真実だったとしても、差はせいぜい1四半期程度。また中身についても確定しているわけではなく、5Gとプロセッサ更新以外はまったく同じ説もあります。
今年のモデルも、プロセッサは2018年モデルから据え置き(微妙に速い)とはいえ、iPad Proはもともと十二分に高性能な製品。全く新しいアプリケーションの可能性を開くLiDARスキャナ初搭載は大きく、中継ぎマイナーチェンジではまったくありません。(ついでに、従来よりけっこう安くなっているのも大事)。
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