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2020年の“New”XPS 13は大きく変わった! 「XPS 13 (9300)」実機レビュー

“今回取り上げる”New XPS 13は、2020年1月に米国ラスベガスで開催された2020 International CES(以下2020 CES)でその存在が公開され、2月には販売を開始した“2020年モデル”だ。冒頭から余談で申し訳ないが、New XPS 13は新しいモデルが登場するたびに同じモデル名で登場するため呼び方が面倒だ(従来モデルを併売しているのでなおさら)。というわけで、一応「9300」という型番もあるがここでは、2020年に登場したNew XPS 13を「XPS 13 2020」と呼ぶ(文字数的に多くなっていない?)。

デル、極細ベゼルの「New XPS 13」を2月14日発売 税別179,980円から

○13.4型でも11型相当のスマートボディ

そのXPS 13 2020において、デルは従来モデルからいくつかの変更を施している。外観で、または、使い始めてすぐに気が付くのは“一層”細くなったベゼル幅をはじめとするディスプレイ周りと本体サイズだ。デルの2020 CES当時発表資料では具体的は数値として「ディスプレイサイズは従来モデルから6.8%拡大」「本体の4編サイズは20%」を掲げている。XPS 13 2020のサイズは幅295.7×奥行き198.7×高さ14.8ミリで、これは従来モデルと比べて幅は302ミリから6ミリほど減っている。ただし、奥行きのサイズと高さはほぼ同等だ。なお、本体の重さは従来モデルの1.16~1.23キロに対して、1.2~1.27キロとわずかに増えている。

デルが訴求する「11型ノート級のフットプリント」に対して、同じデルのInspiron 11 3000 2-in-1が幅287.4×奥行き197.78×高さ17.3~19.15ミリであるので、確かにデルのノートPCラインアップでは11型ノートサイズ相当といえる。また競合他社の12.5型ノートのサイズが幅287.8×奥行き203.3×高さ15.7~18.0ミリであるので、XPS 13 2020は確かに「一回り小さなサイズのディスプレイを搭載したノートPCに相当する本体サイズ」というのは間違っていない。

XPS 13 2020のディスプレイも従来モデルからサイズが13.3型から13.4型となり解像度は3840×2400ドット、横縦比が従来の16:9から16:10と縦方向に表示領域が増えている。ただ、ディスプレイの対角サイズが増えたといっても13.4型と3840×2400ドットを“原寸”で表示するのはさすがにつらい。Windows 10のディスプレイ設定としては表示ズーム300%が推奨となる。ただ、300%表示ではフォームなどの表示サイズも大きくなり、せっかくの高解像度が無意味になってしまう。かといって、表示ズームの倍率を低くするとフォントサイズが小さくなって読みにくくなる。XPS 13 2020のディスプレイで実測してみると、Edgeの初期設定でマイナビニュースの記事を表示したとき、本文フォントのサイズは300%設定で3ミリ、250%設定で2.5ミリ、200%設定で2ミリ、150%設定で1.5ミリとなった。1週間ほどの評価期間において各種ズーム設定で使用したが、200%設定までなら実用上問題なくフォントを認識できた。150%表示でも使えなくはないが、長時間(具体的には作業開始から2時間ぐらい経つあたり)使用していると、少し頭痛がするような状況だった。

○犠牲になりがちなキーボードはどうなった?

本体サイズがコンパクトになると、トレードオフの関係にあるキーボードにしわ寄せがくることがよくある。キーレイアウトに無理が来てタイプがしにくい、もしくは、誤爆しやすいキーが出現しがちだ。最近のモバイルノートPCではキーピッチで19ミリを確保するモデルが多いが、XPS 13 2020もキーピッチは実測で19ミリを確保している。かつ、キーレイアウトには無理がない。アルファベットキーはほぼ均等ピッチで、1つのキーホールに二つのキーを押し込んだ“分割キー”は唯一上下カーソルキーしかないが、検証作業中において運指的にタイプがしづらいキーはなかった。デルの説明ではキーボードユニットの幅を本体幅ぎりぎりまで拡張し、キーボードの面積を従来モデルから9%増やしたという。

見た目で気になるのがキーボードの右上隅に配置した指紋センサーを組み込んだ電源ボタンだ。使用する機会が多いdeleteキーとbackspaceに近く、間隔もほかのキートップと同様である意味タイプしやすい場所にある。ところが、検証作業中に誤って電源ボタンをタイプすることはなかった。電源ボタンの高さをほかのキートップより低くし、キーホールと電源ボタンの隙間をほぼなくし、そして、電源ボタンの縁を白くすることで視覚的に目立たなくするなどの“ステルス”化が功を奏したと思われる。

キーボードをタイプしたときの感触は、やや軽いがタイプした指はすっと降りていく。キー構造は従来モデルで採用していた「MagLev」(磁力浮遊式)機構ではなく、ノートPCで主流のメンブレン機構に戻している。そのため、キートップを押し切ったときの感触はMagLevの「カチッ」ではなく「フカッ」となる。押した指の力はしっかり支えてくれるが、硬いプレートにそのままぶつかって止まったような感じではなく、プレートの上に布を一枚挟んでいるような感覚だ。キーストロークは公称値で1ミリとしているが、十分に押し切った感触は得られる。タイプ音は静かで、騒音計で測ってみると、暗騒音37.2dBAにおいて43~45dBA程度に収まる。静かな図書館でも聞こえない、というわけではないが「カチャ」という音がしないので、うるさく思う人は少ないだろう。コワーキングスペースや静かな喫茶店なら邪魔にならず安心して使えるはずだ。

○進化したスペック、実性能をベンチマークテスト

本体に搭載するインタフェースは2基のType-C USB(Thunderbolt 3)とmicroSDスロット、ヘッドフォンマイクコンボジャックで、そのほか無線接続としてはWi-Fi 6(IEEE 802.11ax準拠)とBluetooth 5.0が利用できる。生体認証用センサーには電源ボタンに組み込んだ指紋センサーの他に、従来のXPS 13では利用できなかった顔認証にも対応した。これは、赤外線カメラで2.25ミリという小型のモジュールを搭載したおかげだ。

XPS 13 2020のCPUは、従来モデルと同じインテルの第10世代Coreプロセッサーながら、省電力を重視したComet Lakeではなく、処理能力も重視したIce Lakeアーキテクチャを採用している。プロセスルールはComet Lakeの14ナノメートルからIce Lakeでは10ナノメートル微細化が進み、統合するグラフィクスコアは第11世代の演算実行ユニットを実装して描画処理能力が向上したIntel Iris Plus Graphicsを採用している。その他、システムメモリでは従来モデルになかった容量32GB構成を選択できるようになった。

XPS 13 2020の処理能力をベンチマークテストで検証してみる。評価機材の構成は以下の通りだ。

検証作業で実施したベンチマークテストとそのスコアは以下の通りだ。

以前、評価した同じ“Ice Lake”CPUを搭載するXPS 13 2-in-1(2019年モデル)とほぼ同じスコアを出している。グラフィックス処理能力についても同様で、最新世代で処理能力が向上したとはいえ、重負荷を必要とするゲームの動作は実用的ではないと考えていいだろう(もちろん、負荷を軽減した設定ならば快適に動作する)。

なお、高負荷をかけている状態(3DMark Time Spy)における動作音の大きさとキートップとパームレスト、底面の表面温度を測定した結果は次の通りだった。

パームレストの温度は低いがキートップ(特にFキーのある中央右寄りのエリア)と底面が高い。動作音は45.2dBAと「静かな事務所」に相当するレベルだが、それでも「フーン」という風切り音に混じって「ヒー」という高い音がわずかに聞こえるので、音圧以上に音が周囲に聞こえるかもしれない。

バッテリー駆動時間はBBench 1.0.1で測定している。測定条件としてはバッテリーをパフォーマンス寄りのバランスに、ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベルに設定している。この状況で連続駆動時間は36283秒(10時間4分43秒)だった。終日利用には十分だが泊りがけの出張には少し足りないかもしれない。標準付属のACアダプタはアダプタ本体こそ60×55×22ミリとコンパクトだが、中身が詰まっているのかコード込みの重さは230グラムになる。

13.4型ディスプレイを搭載しながら本体サイズは11型ノートPC相当とコンパクト。選択できる構成では3840×2400ドットと高解像度環境も利用でき、かつ、処理能力は高い。また、キーボードも使いやすい。一方で、重さは1.2キロと最近のモバイルノートPCとしては少し重めで、バッテリー駆動時間は平均的。このバランスを考慮した上で、処理能力とコンパクトサイズのボディを優先したいユーザーにとってXPS 13 2020は有力な購入候補となるだろう。



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