第2世代iPhone SEがついに登場
4月15日、アップルが待望の第2世代「iPhone SE」を発表しました。4.7インチ画面のiPhone 8をベースに、CPUやカメラを最新化した「格安」モデルとなっています。
ただ、第1世代のiPhone SEは4インチの小型画面で知られていました。なぜ第2世代では画面が大きくなってしまったのでしょうか。
■小型スマホの代名詞になったiPhone SE
第1世代iPhone SEの特徴として、2012年の「iPhone 5」から続く4インチの画面を思い浮かべる人は多いでしょう。
iPhone SEが登場した背景として、「小型スマホ」として設計されたというよりも、ボディを流用しながら中身を最新化した、ある種の寄せ集め感がありました。一度きりの特別なSpecial Edition(SE)だったわけです。
ただ、アップルの事情はどうあれ、ユーザーから見たiPhone SEは最後の4インチiPhoneです。しかも単に画面が小さいだけでなく、本体形状は角が立っており、手でしっかり握りやすい、落としにくいという特徴もありました。
第2世代iPhone SEの本体形状はiPhone 8から変わっていないようです。画面が4.7インチに大型化した上に、本体は丸みを帯びた形状になったことで、「これじゃない」感が増したといえます。
ちなみに今回、アップルは「第2世代のiPhone SE」という表現を用いています。4.7インチという画面サイズはこれが最後かもしれませんが、今後もiPhone SEをスタンダードな製品ラインとしてモデルチェンジしていく可能性を示唆しています。
■4インチ画面を終わらせた「大画面化」の波
このように、第2世代のiPhone SEが大型化した理由は「iPhone 8がベースになったから」といえます。ただ、小型のiPhoneを待っていたユーザーが本当に聞きたいのは、なぜ4インチのまま中身を最新化しなかったのか、という点でしょう。
これはスマホ市場の現状を考えると、かなり難しい要求です。スマホで動画やゲームを楽しむユーザーが増えたことで「画面は大きければ大きいほどよい」というトレンドが世界的に生まれています。第2世代iPhone SEの4.7インチでさえ、小さすぎるほどです。
そのため、スマホの画面周りの技術競争は「スマホとして許されるサイズにどれだけ大きな画面を搭載できるか」という方向に向かっています。その中で生まれたのが、iPhone X以降で採用されたノッチ付きの全画面デザインや、画面を折りたためるAndroidスマホです。
日本では、通勤電車で片手で使うのに便利という理由などから、小型スマホの需要は大きいとされています。小型モデルを作り続けるシャープは、小型を選ぶ人の割合は約3割との数字を挙げたこともあります。ただ、市場全体では少数派といえるでしょう。
小型スマホには電池持ちの問題もあります。第2世代のiPhone SEは、アップルによればiPhone 8とほぼ同じ駆動時間を実現しているとはいえ、3000mAhクラスの容量があるiPhone 11に比べれば確実に短いものです。電池持ちに対する要求が厳しい現在では、これはほぼ下限といえるでしょう。
■Androidが独占する市場に殴り込み
いま、iPhoneの主力モデルは「手頃」な価格のiPhone 11ですが、それでも約8万円からと、決して安いとはいえない水準でした。これに対して第2世代iPhone SEは税別で4万4800円からという、魅力的な価格をぶつけてきました。
ここにキャリアの割引が加えれば、コスパを売りにするミッドレンジのAndroidスマホに匹敵する「格安」価格になります。型落ちや中古のiPhoneを除けば、この価格帯ではこれまでAndroidスマホしか選択肢がありませんでした。
ミッドレンジのAndroid機では激しいコスパ競争が続いており、2眼以上のカメラや全画面デザインも当たり前になりつつあります。その点、第2世代iPhone SEは前面ベゼルを黒で統一するなど工夫はしているものの、デザインの古さは否めません。
「ホワイト」色でも前面は黒ベゼルになった
ただ、ミッドレンジのAndroidとは異なるのがプロセッサーです。第2世代のiPhone SEはフラグシップと同じ「A13 Bionic」を搭載しており、最新のiOS体験が期待できます。これまでAndroidしか選択肢のなかった価格帯にiPhoneが殴り込みをかけることで、スマホ市場の勢力図が変わる可能性があります。