東芝デジタルソリューションズは4月14日、放送局を始めとするメディア向け顔認識AI(人工知能)である「カオメタ」のサービス提供を開始した。映像に映る人物の顔を高い精度でリアルタイムに認識し人物特定することで、迅速かつ正確な番組制作などの業務をサポートするという。
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放送局では、取材、制作、編集、オンエアなど多くの業務で「映像のどのシーンに誰が映っているか」を非常に重視しているとのこと。
特に、意図した人物ではない別の人物を放送する、ある人物のテロップに別の名前を表示するなどの「誤報」は社会的な影響が大きく、番組制作現場では多くの時間と人手を割いて人物の本人確認を行っているという。
本人確認作業が間に合わないと放送素材をオンエアするタイミングを逃してしまうこともあり、番組制作における確認作業の正確性向上と効率化が課題になっているという。
同社が今回提供を開始する同サービスは、映像から人物を特定する顔認識AIで、リアルタイム性を重視したオンプレ版サービス。
多様な撮影環境や顔の向きに対して高精度でリアルタイムな認識を実現し、また照明や顔の向きや表情といった多くの変動要因を含んだ画像からでも正確に人物を特定するための情報を抽出できる技術を持っているといい、複数枚の顔画像を用意する必要は無く、1人につき1枚の顔画像を登録することで高精度な顔認識を実現するとしている。
さらに、検出した顔の領域の追跡により認識を途切れさせない人物トラッキング機能や、複数の映像を同時に扱うマルチ画面に映し出した小さな顔の認識など、放送局に特化した機能もあり、多様なシーンに柔軟に対応するという。
サービス提供にあたり、日本テレビの協力の下で選挙特番をモチーフにした実証実験で効果を検証したとのこと。
同サービスのプロトタイプ版を日本テレビの放送システムに接続し、2019年7月に放送した生放送特別番組である「2019参議院選挙特番」において映像に映った立候補者の人物名確認作業などに適用したところ、本人適合率99.74%の精度で顔を正しく認識し、本人確認作業時間が大幅短縮したことで映像素材のオンエア率が倍増したという。
同社は今後も、番組制作現場の負荷軽減に向けた放送システムとの連携や、システム環境を意識せずに利用可能なクラウドサービス化など、放送局の業務に寄り添う機能の拡充を進めていくとしている。
また、リアルタイム認識に加え、これまで対応が難しかったという大容量の過去の映像に映る人物特定(メタデータ付与)など、さらなる放送映像の利用に貢献していくとのことだ。