ケータイの契約/解約というと、加入時はショップに出向いて身分証明書を提示し端末の購入や契約、解約時はキャリアショップまで行き、順番を待って手続きが必要というイメージ。そのこと自体は今も基本的に変わっていない。ただ現在の社会状況を考慮すると、キャリアショップに行くのは可能な限り回避したい。そこで今回は自宅にいながらして、解約する方法を考えてみたい。
今回は主要キャリアと格安SIMの両方で、自宅にいながら解約する方法をまとめた
3大キャリアの純粋な契約の解約は店頭限定
まず結論から言えば、3大キャリアの場合、現在のところ解約は原則としてキャリアショップへ出向いての対応となる。委任状を使って代理人に頼むことはできるが、誰か人間が行かないといけないことに変わりはない。
MVNOの格安SIMの場合は、いずれもネットで解約まで完結するところがほとんどで、一部の事業者や契約条件によっては電話で解約を依頼しなければならないところもある。いずれにしても出向く必要はなく、自宅にいながらして手続き可能だ。
サブブランドのUQ mobileとY!mobileは格安SIMでも少し違う。UQ mobileは解約の相談はコールセンターへ電話するように案内しており、実際には電話で解約できることがほとんどのようだ。そして、Y!mobileは原則店舗だが、電話で申し込んだあとに郵送で書類のやりとりをして受け付けてくれる場合もあるようで、ケース・バイ・ケースでの対応となる。
ちなみにY!mobileが4月1日に発表した、使わなければ自動解約というプランは、過去に存在した使わない場合は請求が発生しないといったデータ通信のプランなどで、スマートフォンを利用するためのものではない。
そこで、自宅にいながらにしてどうしても3大キャリアを抜けたいという場合は、ひとつワザがある。
MNPで他キャリアに加入すれば、元のキャリアは自動解約
3大キャリアであっても、MNP予約番号は電話やネットで発行してくれる。そして、MNP予約番号さえもらえば他社に乗り換えができ、他社に加入した瞬間に元のキャリアは自動的に解約となる。
今すぐ回線を止めて電話番号も廃止したい、という希望はかなわないが、オンラインで加入できる格安SIMや他キャリアに乗り換えたいという希望ならばお店に行く必要はない。
また、今すぐではなく、少し先に解約したいというのなら、いったんMVNOの格安SIMなどに乗り換えをしたあとに解約すれば、結果的に3大キャリアやサブブランドであっても店に行かずに電話番号を廃止して解約が可能だ。
MNPの際にかかる費用は、転出手数料と加入手数料と、場合によっては月額費用が前後キャリアのダブルで発生してしまうが、MVNOでも加入キャンペーンや低価格プランをうまく使えば、手数料分を補填できることもある。
たとえば、月5000円かかっている3大キャリアの回線を、店に出向くことができないために1カ月以上放置してしまうくらいなら、3300円の転出手数料で転出、加入料を0円に近い方法で加入し、月額1300円程度のプランのまますぐ解約すれば、追加費用の問題は考えなくてもいいのかもしれない。格安SIMの加入や解約は、店舗で待たされる時間を考えれば驚くほど簡単だ。
加入料をゼロに近づけるにはキャンペーンのほか、通販サイトで数百円で販売している加入パッケージを使う方法などもある。月額費用のダブりについても、OCN モバイル ONEのように加入月は基本料無料という格安SIMに加入すればその問題も回避できる。また、このような目的にも有効な「お試し」用プランを用意している格安SIMもある。mineoやNUROモバイルなどにあり、mineoの場合は事務手数料も安く抑えている。そして格安SIMの料金、サービスが気に入ったら、もちろんそのまま使い続けてもいいわけだ。
また、3大キャリアの2年契約の更新時に解約しなければと焦っているだけならば、MNPで乗り換えをしなくてもプランを長期契約がないか、違約金が1000円という最近のプランに変更する方法もある。これは電話やネットで可能。その場で解約はできないが、店に行けるようになったら、いつでも違約金なしで解約できるようにしておける。
MVNOの格安SIMの解約は ネットや電話で可能だが注意点もある
それに対して、MVNOの格安SIMの解約は簡単だ。前述のようにネットで解約できるところが多く、一部は電話で申し込む。
ただし、注意しなければならないことがある。それは解約日に締切があり、たとえば4月末で解約したい場合は、MVNOの楽天モバイルのように4月15日までに手続きを済ませておかないとならないところもある。ここまで早く締め切るところは少ないが、月末ぎりぎりに手続きして月末日に解約できるとは限らない。
また、解約は月単位というところがほとんどなので、月初に思い立ってもその月は満額料金を払わなければならず、回線も止められないところが多い。なかにはmineoのように月単位でなくても解約できるところもあるがそれは少数派だ。
そして、短期解約の違約金だ。2019年10月1日以降の契約回線であれば違約金はないと思われがちだが、そうでもない。IIJmioは1000円に値下げされたものの契約12ヵ月未満の音声回線は違約金がかかる。そして、違約金の規制がかかったのは契約者数が多かったり、MNOの子会社の通信事業者に限られるため、それ以外は2019年10月以降に契約した回線でも高額違約金が設定されている場合がある。
また、2019年9月30日までに契約した音声通話対応プランでは違約金があるところがほとんどとなる。MVNOの格安SIMの場合、通常は1年だが、OCN モバイル ONEのように約半年のところや、契約によっては3年契約が存在したMVNOの楽天モバイルのような例もある。ネットで解約手続きをする際に、違約金のことが個別に案内されない格安SIMもあるので、十分に注意したい。1ヵ月早く解約したために約1万円請求されたという例もあり、しっかり確認しておくことをおすすめしたい。
最後はSIMの返却。3大キャリアのように店頭で解約すればSIMをその場で渡せばいいが、ネットや電話で解約する格安SIMの場合、郵送でSIMの返却を求めているところがある。なかには未返却のペナルティーが設定がされているところもあるので、確認しておきたい。
通常なら、店舗や電話での手続きはメリットもある
店舗に出向いたり、オペーレーターの対応時間や順番待ちのある電話対応は煩わしい印象しかないと思うが、実はメリットもある。それは、ウェブサイトなどに大きく書かれていない「特典」が個別に提示される場合があるからだ。
たとえば、3大キャリアのあるキャリアの場合、MNP予約番号を電話で発行してもらうが、その際、引き止め策として特別な条件を提示されることもある。機種変更の特別値引きのほか、月額費用を安くしたいという希望を示せば、系列のサブブランドへ手数料無料で移行でき高額ポイントもらえるといった特典が案内されることもあった。
また、店舗でSIMだけの契約を依頼した場合、大幅値引きがされ0円に近い金額でスマートフォン購入を案内されることもある。結果、格安でスマートフォンの予備機が手元に残るということになる。
後者のようなことは外出を控えるように言われる社会情勢では厳しいが、混雑したキャリアショップに行って問題ないような世の中に戻ったときはオトクでしかない。
理想はすべてネットでできること
新型コロナウイルスのおかげなのか不明だが、3月26日からドコモが「SIMのみ契約」がネット上のオンラインショップでもできるようになった。これまでは機器購入と同時しかできなかったものが一歩前進した格好だ。
あと一歩のような気もするが、現在はできないものは仕方がない。この機会に、今後のためにも店に行かずすべての手続ができるMVNOの格安SIMを検討してみてはいかがだろうか。