世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス対策として公開した「マスクの利用に関するガイドライン」には「どんな状況であっても布マスクの利用は推奨されません」と記されていますが、その他の公衆衛生機関や研究者からは「新型コロナウイルスの感染拡大を止めるために人の多い場所では着用すべき」という意見が多く出ています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威が広がるアメリカで感染症対策組織として新型コロナウイルスと日夜戦うアメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、当初はマスクの着用を重要視していませんでしたが、新しいガイドラインを公開し「布で顔を覆うこと」を推奨し始めました。これに合わせて、CDCは「誰でも簡単にできる布マスクの作成方法」をムービーで公開しています。
アメリカでは2020年4月5日時点での新型コロナウイルス感染症の感染者数が31万2146人を記録しており、驚異的なスピードで感染が広がっています。この状況を受け、CDCは2020年4月3日に「布で顔を覆うこと」に関するガイドラインを公開しました。
ガイドラインの中で、CDCは「アメリカでは新しい新型コロナウイルスの広がりとその影響を研究し続けています。最新の研究から、新型コロナウイルスに感染した罹患者の多くには症状がないこと(無症候性)、そして罹患者は何らかの症状が出る前にウイルスを他人に感染させてしまうケースがあることが明らかになりました。つまり、新型コロナウイルスは近くにいる人に症状が現れていなくても、話をしたり、せきをしたり、くしゃみをしたりした際に伝染する可能性があるということです。この新しい証拠に基づき、CDCは特にコミュニティベースの感染者数の増加が著しく多い地域では、社会的距離を維持することが困難な公共の場(食料品店や薬局)で『布で顔を覆うこと』を推奨します」と述べ、布マスクやバンダナなどを用いて口元を覆い、飛沫感染を防ぐことが重要であると記しました。
さらに、CDCは社会的距離を維持、具体的には人と人との間隔を6フィート(約1.8メートル)取ることで、新型コロナウイルス感染症のまん延を遅らせることが引き続き重要であると強調しています。加えて、CDCは「布で顔を覆うことは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、誰がウイルスを保持しているかどうかをわからないようにするために重要です」と述べました。
そして、CDCは「家庭にある一般的な材料から作った低コストの布カバーは、自主的な公衆衛生対策として使用できる」と述べています。またCDCはサージカルマスクやN95マスクは医療従事者やその他の医療現場の最前線で働く人々が必要とする供給品であるとして、必要とする場所に優先的に供給するために、一般の人々には布で顔を覆うことで飛沫感染の防止に努めてほしいとしています。
ガイドラインの公開と同時に、CDCは簡単に作れる「布マスクレシピ」をムービーで公開しています。