AMDが、現行世代や次世代のGPUに関するソースコードが公開されているとして、GitHubにDCMA通告をしました。Githubはその後リポジトリを削除、AMDはオンラインに公開された自社グラフィックスチップの知的財産(IP)盗難に関する声明と題したプレスリリースを発行し、盗まれたのは重要情報ではなくAMDのIPとは認識していないと述べています。
注目なのは、その公開されていたソースコードがRadeon RX 5700シリーズに搭載されるNavi 10のもののほかに、次世代GPU Navi21(通称Big Navi)、さらにXbox Series Xが搭載する予定の「Arden」のものだとされること。著作権侵害とデジタル権利に関するニュースに詳しいTrrentfreakは、ソースコードを入手した人物が一連のソースコードに1億ドル(約110億円)の価値があるとして買い手を探しており、もし売却できなければすべて公開すると主張したと報じています。
問題のコードの入手に関しては、セキュリティ的に保護されていない端末に対していくつかのエクスプロイトを仕掛けたところ、思いがけず暗号化されていないソースコードを入手できたと自称ハッカーは述べています。そして、後になってそこにNavi 10 と Navi 21に関する記述があり、さらにArdenに関するものも含まれていることを知ったとしました。
Tom's Hardwareによれば、さらにこの自称ハッカーは「(AMDが)自分たちの落ち度を認めるのでなく逆に訴えられると確信しているため」AMDにコンタクトを取ってはいないと述べています。ただ、セキュリティ技術に詳しいハッカーなら、もし思いがけず重要な情報を入手できたのなら、脆弱性をAMDに報告することで情報提供に対する報酬もしくは報奨金を安全に得ることを考えそうなもの。そう思うと、この自称ハッカーの行動はやや不思議に感じられます。
一方のAMDは、事態に動揺している様子もなく、盗まれた情報は「製品の競争力やセキュリティの中核を成すものではない」と述べ、犯罪捜査のために法執行機関や専門家と連携しているとリリース文に記しています。
ちなみに、一時Githubで公開されていたコードは、すでに4chanなどの掲示板サイトにそのありかを示す投稿が発見されているとTom's Hardwareが伝えています。もし自称ハッカーが主張するようにソースコードが重要なもので、それが今後公開されるようなことがあれば、仕様変更などでXbox Series Xの発売時期が遅れるなどという事態になる可能性もあるかもしれません。