◆日本の道、日本人のライフスタイルに合っているサイズ感
2017年に登場した3代目『XV』は近年のSUV人気もあってか、今やスバル車のなかでも人気のある主力モデル。ボディサイズの全長4465mm×全幅1800mm×全高1550mmは世の中に存在するいわゆる“ミドルサイズ”のモデルというにはコンパクトであり、コンパクトというほど小さいわけではない。そのサイズ感も日本の道、日本人のライフスタイルに合っているのではないかと思う。
加えて、個人的にはXVのカラーバリエーションの“色”選びには先代からセンスの良さを感じていて、現行モデルでもオレンジやクールグレーカーキの色の個性によって、街中や高速道路でボディカラーで目が留まる確率が高いSUVがXVなのだ。高速道路を走るXVを見つけては「どこに(遊びに)行くんだろう」と勝手に楽し気な想像をしては羨ましさを抱くこともしばしば…。
そんなXVは2018年に「e-BOXER」というモーターアシスト系ハイブリッドモデルを追加。今回のモデル改良に伴い、XVのパワートレインのラインナップは2リットルの直噴ガソリンエンジン搭載するモデルがなくなって、1.6リットルのガソリンエンジンモデルと2リットル+モーター(e-BOXER)の2タイプとなった、というのは少々マニアックな情報。
このほかの改良点は「アイサイト・ツーリングアシスト」の全車標準装備、2つのモードを選択できるX-MODEの採用、そしてアクセスキー対応の運転シートポジションメモリー機能の採用という、機能の拡充が主となる。
◆アイサイト・ツーリングアシストの標準搭載とX-MODEの採用
アイサイトはプリクラッシュブレーキ、後退時のブレーキアシスト、AT誤発進抑制制御、ツーリングアシスト、全車速追従機能付きクルーズコントロール、車速逸脱ふらつき警報や信号や渋滞時の先行車お知らせ機能などが装備される。
なかでもツーリングアシスト機能はこれまで車速60~115km/hまでの設定だったが、今回XVに搭載されるのは0~135km/h(あくまで設定速度)までと制御性能を向上。先行車追従機能も追加されている。さらにハンドルの動きや車両の挙動(ふらつきをなくす)制御の質感も向上。常に進化を続ける先進安全技術だが、スバルの今ある技術のなかでは共通ながら操舵支援の制御は最新にアップデートされたものが採用されているそうだ。実際に直進性が増し、つまり安定性の増した制御には安心感も増している。
X-MODEは今回の試乗では試すことができなかったが、これまでの1モードのみだったものが雪道や砂利道などタイヤが空転しやすい状況では「SNOW・DIRT」モード、深雪やぬかるみのようなタイヤが埋まってしまうようなディープな状況では「DEEP SNOW・MUD」モードを選ぶことができるようになり、扱いやすさと安心感、そして路面コンディションが悪いときもAWD性能のみならず、この制御技術がより安全な走行性能を助けてくれそう。
◆走りの質を高めてくれるe-BOXER
そして走行性能。XVには改めて魅力的な運動性能が与えられていることを再認識。ココに登場する主な技術は、現行型XVにも搭載されているスバルのSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)=骨格。全車に採用されるAWD(4WD)、そしてe-BOXERを組み合わせた2リットル直噴エンジンの動力性能。
新世代のプラットフォームも実は改良が加えられているそうで、それに組み合わされるXV用にチューニングも施されたサスペンションとAWDの働きによって、クルマの動き、それは上下方向も横方向でも、ハンドルを切ってクルマがアクションをする場面でも、ただまっすぐな路面を走るのでも、落ち着きの良さや塊=まとまり感が感じられる。ドタバタしない、ユッサ、ユッサと揺さぶられない。結果的に乗り味の質感が高く感じられるのだ。
さらにe-BOXERのモーターアシストが加わる加速などの動力コントロールのリニアさ。2リットル直噴エンジンの145ps/188Nmに対し、モーターはわずか10ps/65Nmなのだが、はじめの一歩のひと加速を助け、走行中を通して隙間なくタイムラグなく、アクセルをちょっと踏んでもスッと走るというサポートの塵積的な助力がガソリンエンジンの苦手をサポートし、速度コントロールや加速性能といった走りの質を頼もしく向上させている。