本日16日にマイクロソフトが公開した新しい(Chromiumベースの)Microsoft Edgeブラウザーですが、日本でのWindows Updateを通じた配信は4月1日以降に延期されると日本マイクロソフトが明らかにしました。
同社はその理由を「確定申告の影響を考慮」したためと説明しています。
なお、延期となるのはWindows Updateによる自動更新のみ。新Edgeをユーザー自身でダウンロードして更新することは可能です。国税庁のサイトによると、確定申告に必要なe-Taxソフトを使用するための推奨環境は、Windowsでは「Microsoft Edge」または「Internet Explorer 11」とされており、ChromeなどのBlinkエンジンベースのWebブラウザーやFirefoxはサポートされていません。
新しいMicrosoft Edgeは、これまでマイクロソフトが自社で開発していたHTMLレンダリングエンジンを捨て、オープンソースの Chromiumブラウザー(Blinkエンジン)を搭載したものとなっています。
つまり、Edgeのアップデートによって、Webサイトによっては表示崩れが起きるといった可能性もあります。ただし、Chromiumベースの新Edgeブラウザーでは、「IE モード」を搭載しており、やや面倒な設定を行えば、以前のInternet Explorer 11と同じレンダリングエンジンで表示することもできます。
こうした事情から、仮にEdgeのアップデートによって確定申告の際に必要なページ表示になんらかの不都合が生じてしまうと、その影響は大規模なものとなります。さらにそれがWindows Updateでの自動アップデートによるものなればなおさら。
日本マイクロソフトがそれを避け、Windows Updateでの配信を延期したのは賢明なことでしょう。
もっとも、IE 11およびEdgeはブラウザーの利用率では大きくシェアを減らしており、Net Applicationsが公表している2019年12月時点の世界シェアでは、Chromeがシェア66.64%となっているのに対し、IEは7.44%にとどまっています(ちなみにEdgeは6.74%です)。
つまり、IE 11はOS標準のブラウザーでもなくなり、世界シェアでもマイノリティとなっているのが現状です。
日本の国税庁が納税のために重要な手続きである確定申告のために用意したWebアプリが、マイナーブラウザーとなったIE 11でしか動作が保証されないというのは、仮にも電子政府を推進する国家としてはお粗末な対応と言わざるをえないでしょう。
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