楽天モバイルの三木谷浩史会長兼CEOが、商用サービスを2020年4月から本格開始すると発表した。
MNO(移動体通信事業者)と呼ばれる、自社回線を持つ携帯電話会社として、19年10月から試験サービスを行っている楽天モバイル。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクに次ぐ、「第4のキャリア」として期待されているが、これまでの道のりは順調とは言えなかった。残り3か月となるが、本格スタートできるのか。
半年間の「無料サポータープログラム」を提供中
三木谷氏はこれまでも楽天モバイルの会長職だったが、2020年1月6日付でCEOを兼務した。新体制への移行は、経営スピードの加速と、事業運営オペレーションの強化を目的としている。三木谷氏は同日、報道陣からサービス開始時期を聞かれ、「従前から申し上げております通り、4月にサービスインします」とコメントした。
楽天モバイルは19年10月から、5000人を対象とした「無料サポータープログラム」を提供している。これは対応端末の利用に加え、アンケートと品質テストへの協力を条件に、通話とデータ通信が無制限に無料で利用できるもの。20年3月末まで提供予定で、その間に正式サービスが開始された場合にも、無料期間は継続される。当初から20年4月をひとつの区切りにしていたが、今回の会長発言を見るに、プログラムが「猶予期間」いっぱいまで継続されると考えてよいだろう。
MNOとしての楽天モバイルでは、当面のサービスエリアを「東京23区、名古屋市、大阪市および兵庫県の一部」に設定している。これ以外の地域では、KDDIなどからローミングによるネットワーク提供を受けることで、当初から全国で利用できるようになっている。
度重なる行政指導の先に...
ローミングを受けられるからといって、自前の基地局を立てなくて良いわけではない。楽天モバイルは、20年3月までに3432局の設置を目標とし、総務省へ提出された整備計画でも、同じ局数を掲げている。そのうち、19年12月までに約3000局で電波発射(11月7日付、楽天決算説明会資料)を行うとしていて、最低限のノルマは達成できそうだ。
基地局網が整備されれば、次はサービスだ。後発キャリア(事業者)ならではの差別化が求められ、とくに料金面では大手3社と一線を画す「価格破壊」を期待されている。12月初旬には、ウェブ上に「50GB 900円」といった記述が発見され、楽天モバイルのMNO料金プランなのではないかと話題になった。すぐさま同社は、「表示検証のために制作されたページが、社外から閲覧できる状態」になっていたとし、書かれていた料金は「架空の情報」だと発表したが、仮にこの水準になるとすれば、大きなインパクトが与えられるだろう。
とはいえ、まだ解決すべき事柄は多い。いまはモニターによる試験運用段階だが、たびたび通信障害が発生し、12月13日には総務省から4回目の行政指導を受けている。サービスの本格運用には、インフラの安定が欠かせない。この「宿題」をいかに片付けるかに、スケジュール通りにスタートできるかがかかっている。