風力発電の、新しい夜明けが見えます。
時代は2020年に突入しましたが、世界最大の浮体式洋上風力発電所が、新年があける前日に稼働を開始し、正月返上で発電をしています。
ポルトガルは再生可能エネルギーに注力
ポルトガル沖に設置されたこの風力発電所は、「WindFloat Atlantic」と呼ばれ、大晦日に電力系統へと接続されました。とはいえ、これは全部で3つある風力発電所の、最初のひとつです。そしてそれらすべてが稼働されれば、浮体式風力発電所は、年間約6万世帯分のエネルギーを提供できるようになります。
ポルトガルは、デンマークとイギリスを含む多くの欧州諸国と同様に、実行可能なクリーン・エネルギーの選択肢として、風力発電に多額の投資をしています。
まだまだ道半ば
Directorate General for Energy and Geology(エネルギーと地質総局)のデータによりますと、2017年には風力エネルギーがポルトガル国内の再生可能エネルギー生産の大部分を占めていたものの、2018年には水力発電が風力エネルギーを抜いてトップに躍り出ることとなりました。しかし2018年の時点で、ポルトガルのエネルギー生産の44.7%は依然として、汚染を起こす再生不可能な資源で占められていました。ですが、こうした浮体式洋上風力発電のようなプロジェクトが増えれば、国が2050年までにカーボンニュートラル実現の目標達成に役立つことでしょう。
浮体式洋上風力発電は、国家が膨大なエネルギー資源を利用することを可能にしてくれます。水深が深い海域では、岸に近い場所よりも強い風が吹きますが、それを可能にするインフラはまだ初期段階にあります。
ちなみに、世界初の浮体式洋上風力発電が送電網に接続したのは2017年後半、スコットランド沖でのことでした。その発電所は、1万2千世帯に電力を供給するのに充分な電力を生産します。
これを機に、世界がもっと風力発電を導入してゆくか
そして今、「WindFloat Atlantic」はこの技術に新たな1ページををもたらしました。この発電所を建設するための部品は海上ではなく陸上で組み立てられ、小型船で輸送することができた、というのも理由のひとつとしてあるようです。
とにかく明らかなのは、世界は陸上だろうが海上だろうが、または浮体式だろうが、より多くの風力を必要としているということです。そして2020年は新年早々、風力発電の分野で良いスタートを切ったように思います。