米Micron Technologyは、ラスベガスで開催中のCES2020に合わせて、最先端となる第3世代10nm台プロセスである1z nmプロセスを用いて製作したDDR5 Registered DIMM(RDIMM)のサンプル出荷を開始したと発表した。
DDR5は、現在のDRAMとしては最先端の技術を取り入れることで、DDR4比で密度を2倍に高めるとともにメモリパフォーマンスを85%以上高めているという。データセンターのシステム設計において、プロセッサーのコア数の急速な増加に伴うメモリ帯域幅と容量の増加に対応するために求められる信頼性の向上を実現し、データセンターの高性能化・高信頼化に貢献できるとしている。具体的なメモリ容量については公表していない。なお、DDR5のDDR4に対する優位性について説明するために以下のような表を公開している。
Micronのコンピューティング&ネットワーキングビジネスユニットのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるTom Eby氏は「ほとんどのアプリケーションでデータの増加が加速している状況下で、価値を引き出すには、データセンターのワークロードがますます大きな課題になっていくだろう。このようなワークロードを可能にするには、より高性能、高密度、高品質のメモリが鍵となる。MicronのDDR5 RDIMMのサンプル出荷は重要なマイルストーンである」と述べている。
○開発競争が激化する3大メーカー
Micronの発表に先立って、SK Hynixは、2018年11月に、1Y nmプロセスを用いた16Gビット DDR5 DRAMを業界に先駆けて開発したと発表し、2019年2月のISSCCで技術発表を行ったが、あくまでもエンジニアリングサンプルであり、いまだに商品化されてはいない。
一方、ライバルのSamsung Electronicsは、2019年7月、1Y nmプロセスを用いた12Gビット DDR5 モバイルDRAMの量産を始めたと発表していた。ハイエンドスマートフォン向けである。同社は、これが業界初のDDR5 DRAMの商品化だとしている。
こうした他社の1Y nmより1世代先の1Z nmプロセスを用いたDDR5 DRAMのサンプル出荷は今回のMicronが初めてということになる。1Z nmプロセスに関してはSK Hynixが2019年10月、DDR4 DRAMを発表している。現在は、DDR4 DRAMが全盛であり、DDR5のマーケットが本格的に立ち上がるのは2021年以降とみられているので、DDR5の競争は緒に就いたばかりである。