脳に酸素や栄養を供給する細い血管から神経細胞に有害な物質が漏出しないよう、血管の外側を覆うバリアーは、慢性炎症で脳内の免疫細胞が過剰に活性化すると破れることがマウスの実験で分かった。神戸大や名古屋大、自然科学研究機構生理学研究所などの研究チームが2日までに英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
このバリアーは「血液脳関門」と呼ばれ、脳神経細胞の網状構造を支え、活動を助ける細胞「アストロサイト」が血管の外側を覆っている。アルツハイマー型認知症や歩行が困難になるパーキンソン病などでは近年、バリアー機能の低下が報告されており、免疫細胞の過剰な活性化を抑えられれば、新たな治療・予防法になる可能性があるという。