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恐竜界の30年論争に決着、「新種」恐竜はT・レックスの幼体 研究

大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックスの骨格標本(2018年5月24日撮影)。

【AFP=時事】この30年間、物議を醸す分類をめぐり世界の古生物学者の意見は真っ二つに分かれてきた──小型のナノティラヌスと分類された恐竜は実在したのか、それともティラノサウルス・レックス(T・レックス)の幼体(子ども)だったのか。今月1日、米科学誌サイエンス・アドバンシズにその論争に答えを出す論文が掲載された。

1988年、米オハイオ州にあるクリーブランド自然史博物館の古生物学者ロバート・バッカー氏らは、1942年に発見され、同博物館に展示されていた小型恐竜の標本を分類し直してナノティラヌスと名付け、新種だと主張した。

その後、2001年に別の研究チームがモンタナ州エカラカ付近で小型のティラノサウルスのほぼ完全な骨格を発見し、荷車などを引かせる馬より少し大きいこの恐竜をジェーンと名付け、ティラノサウルスの幼体と分類。だが少数の専門家は、これはナノティラヌスの一種であり、ティラノサウルスの成体とは頭蓋骨などの骨の形態が異なると指摘していた。

今回オクラホマ州立大学のホリー・ウッドワード氏率いる研究チームは、ジェーンの脛(けい)骨と大腿(だいたい)骨の内部から抽出した標本と、ピティと名付けられた別の恐竜の不完全な骨格標本を顕微鏡で分析。古組織学として知られるこの手法で、2頭が成体ではなく幼体であることが確認され、その結果、ナノティラヌスという種が存在した可能性は極めて低いと結論付けている。

研究チームは、骨の標本から非常に薄い切片を切り取り、高性能の顕微鏡で分析したところ、血管の太さから、2頭は死んだ時点でまだ急速な成長期にあったことが明らかになったとしている。2頭が成体だったとすれば、血管新生がこれほど顕著ではなかったはずだという。

さらに、樹齢を特定するのと同じ方法で2体の骨の年輪(成長線)を数えることにも成功し、ジェーンは13歳、ピティは15歳だと判断している。

成体であれば通常、体重は10トン弱にまでなるが、体重が1トンしかないジェーンは、急激な成長期を迎える前に死んだと考えられる。

恐竜が生まれてから成体になるまでの20年間については分かっていることはまだ限られているが、今回の研究で新たな知見が得られた。【翻訳編集】AFPBB News



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