5Gが起こす変化のスピードは「ゆっくり」?
いよいよ2020年の幕が開けた。
この春には、日本でも第5世代移動通信(5G)のサービスがスタートする。世界各地では、2019年中にサービスが開始されているので、日本は少し遅れての出発となる。
中国・北京ではすでに5Gのサービスがスタートしている Photo by Getty Images
汎用量子コンピュータが開発されれば、現在普及している公開鍵暗号は簡単に破られてしまうことから、同暗号技術を置き換える耐量子暗号技術の開発がさかんに行われている。
今回サウジアラビアのキング・アブドラ科学技術大学、CUP Sciencesらが開発した技術もその候補となりそうだ。
CUP Sciencesのプレスリリースによると、同技術により暗号化した通信は、絶対にハッキングされないとのこと。汎用性が高く、実装コストも低く抑えられそうな新暗号化技術について見ていこう。
・ワンタイムキー発行でチップの構造が変化
研究チームが開発した暗号化技術では、特殊な光学チップを用いる。ワンタイムキーを発行するとチップの構造が不可逆的に変化。情報そのものを暗号化する同技術では、ワンタイムキーは情報とともに送信され、暗号化の解除に使われる仕組みだ。
ワンタイムキーは一時的に保存されることもなく、悪意ある第三者はおろか通信者すら傍受/複製や再作成することができないという。毎回構造が変わるチップのおかげで、ワンタイムキー生成に関する法則性も予測できず、セキュアな通信が保たれるというわけだ。
・量子暗号よりも堅牢
耐量子暗号技術として有力なものに、暗号鍵を光子に乗せて送る「量子暗号」があるが、プレスリリースによれば今回開発の技術は量子暗号よりも堅牢とのこと。
また、一般的な通信ネットワークに実装できる点も強みで、コストを抑えつつ世界規模で通信のセキュリティが高められる。
プライベート通信だけでなく、スマートグリッドやIoT、自動運転にも採用できるとのことで、汎用性が高いのも特徴。
現在研究チームは、同技術を備えた商用アプリケーションの開発に取り組んでいるとのことで、近々その革新性を実感することになりそうだ。
参照元:CUP Sciences and its partners produce new security system that can revolutionize communications privacy/ CUP Sciences