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マウスと人間の脳は全く異なる可能性 脳研究の正確性に影響か

実験用マウスは、医学研究においてこれまで非常に重要な役割を果たしてきた。しかし10月に発表された新たな研究からは、マウスと人間の小脳が非常にかけ離れており、正確な研究モデルにならないことが示唆された。この研究結果は、特定の小児脳腫瘍などの病気に対する現在の研究方法を変化させる可能性がある。

科学誌のサイエンス(Science)に発表された同研究では、マウスと人間の脳は非常に異なる可能性があり、特定の脳研究においてマウスが有益なモデルにならないかもしれないことが示唆された。

ワシントン大学医学大学院のチームは、マウスと人間、マカクと呼ばれるサルを対象として小脳の発達を研究した。研究者らは、マウスと人間、マカクにおいて受精後30日から生後9カ月までの間で小脳の組織を取得することに成功した。

これらを詳細に調べた結果、以前は理解されていなかったことが明らかになった。それは、人間がマウスやマカク(こちらも脳研究で広く使用されている)には存在しない種類の細胞を小脳に持っていたことだ。こうした細胞は、人間特有の一過性前駆細胞と呼ばれている。

研究チームはまた、菱脳唇(りょうのうしん)と呼ばれる部分で見つかったこうした前駆細胞は、脳のニューロンの大部分を占める小脳顆粒神経細胞の源であることを発見した。また、研究者らはさらに、人間の菱脳唇は他の2種の動物と比べ発達までにより長い時間がかることも発見した。

この調査結果は予測されていなかったものだ。調査の主研究者のキャスリーン・ミレンと共著者のパーティル・ハルディプルによると、この研究結果によって、研究者の今後の小脳研究へのアプローチが変化するかもしれない。

ミレンとハルディプルは「マウスをモデルとして使用することには限界があるとする科学文献は増えており、私たちの研究もそれに加わるものだ」と述べ、「具体的には、人間の脳の一部である小脳の作りは、人間に最も近い動物(他の霊長目)とさえ異なることが示された」とした。

小脳は大きさこそ小さいものの、人間の脳の全ニューロンの80%を収容している。小脳はまた、認知や感情、言語を含め、感覚運動の制御と非運動機能の両方において重要な機能と結び付けられている。

小脳の損傷は、出生時に起きたものでも外傷を伴うけがによるものでも、動きや話し方の遅れやぎこちなさを引き起こすことがある。ミレンとハルディプルによると、この新たな研究はダンディ・ウォーカー症候群と小脳腫瘍(髄芽腫/ずいがしゅ)に特に影響を与える可能性があり、マウスがこうした研究においてもはや正確なモデルにならないということが示唆されているかもしれない。

ミレンとハルディプルは「私たちはこれまで、マウスが人間の発達と類似していると考え、マウスの発達に基づいてアイデアを発展させていた。これは大まかには合っているが、詳細部分が重要だ。私たちのデータからは、自分たちが理解していないものを真にモデル化することはできないことが示されている」と説明し、「調査結果からは、人間の脳の発達や病気を調査するため動物をモデルとして使用する場合は注意が必要だということが示されている」と述べた。

髄芽腫は小脳に影響を与える脳腫瘍で、子どもに見られる悪性脳腫瘍の間で最も一般的なものだ。ダンディ・ウォーカー症候群は小脳の形成に影響し、動作、動きの協調性、知能、気分、その他の神経系機能に問題を引き起こす可能性がある。この新たな調査は、2つの小脳関連病の一例として、この分野における今後の調査では全体像が明らかにされない可能性があること、他に解決策を求める必要があるかもしれないことを示唆している。

ミレンとハルディプルは「この情報が、髄芽腫を含め人間の小脳神経発達障害の根本原因について新たな見識をもたらすことを期待している。こうした情報を活用することで、より良い診断情報や、最終的には新たな治療法を提供することができるかもしれない」と述べた。



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