2020年代に続く流れを作り出したガジェットたち。
この10年のガジェットを振り返ると、まずスマホがただの高すぎるおもちゃから、パソコン以上に不可欠な存在へと大進化を遂げました。新しいゲームのあり方を再考させられるゲームシステムや、良いラップトップのあり方を再定義する製品も生まれました。すごいウェアラブル、注目のVRシステムが、誰でも飛ばせるドローンもありました。電子書籍リーダーのデザインは最初の数年でほぼ完成され、この7年間はほとんど変わっていません。そんな2010年代、もっともイノベーティブなガジェットを以下にまとめます。これらは、機能的には古くなったとしても、その存在自体はこれからもずっと重要であり続けるデバイスたちです。
この記事で重視したのは「ベスト」ではなく、あくまで「もっともイノベーティブ」なデバイスです。だってテクノロジーにおいては、「ベスト」はたいてい「最新」になってしまうので。2019年、Fitbit AltaよりNike FuelBandのほうがいいよ!という人はもういないと思われますが、Fitbit AltaはFuelbandが道筋をつけなければ存在していなかったでしょう。なのでこのリストには、2019年の製品は出てこないと思ってください。Nintendo Switch LiteとかLenovo Bookとか、2019年のベストガジェットたちにはそれ用の出番があります。今回は今まで10年間を振りかえり、これらイノベーティブなガジェットの何が重要だったのかを考えてみようと思います。
Apple iPhone 4(2010年)
2010年6月に世界にリリースされたiPhone 4は、それまでの丸みを帯びた形状から、面取りを施したスクウェアなデザインに変化し、また当時世界一薄いスマホとなりました。そのデザインを懐かしく記憶している人はたくさんいて、いつかこの姿に戻ってほしいという声も少なくないです。でもiPhone 4が重要だったのは、デザインだけじゃありません。
iPhone 4は初めて「Retinaディスプレイ」を搭載したiPhoneで、一般的にスマホを使う距離からでは肉眼で見分けられないほど細かいピクセルをスクリーンに詰め込んでいました。また前面カメラを搭載したのも、iPhoneではこれが初めてでした。搭載されたiOS 4はiOSで初めて真のマルチタスキングに対応しました。FaceTimeもここから始まって、シニア世代へもiPhoneが売れるようになっていきました。iPhone 4はiPhoneで初めてCDMAにも対応し、米国ではAT&T以外のキャリアでも使えるようになったため、市場が大きく拡大しました。
Nestサーモスタット(2011年)
もし2010年に「スマートサーモスタットこそ2010年代のベスト・スマートホーム製品だ」なんて言ったら、失笑されてたはずです。でもNest Learning Thermostatが登場した瞬間、すべてが変わりました。少なくとも今の米国では、自分では使っていなくても、身近な誰かがNestを使っていて絶賛しがちだし、それには十分な理由があるんです。
Nestはデザインが美しく、設置も比較的簡単で、直感的に使えます。さらにユーザーの行動パターンを勝手に覚えてくれるので、しばらく使うと温度の上げ下げのためにユーザーがいちいち操作する必要がなくなります。Nestが自動で温度調節して、電気代の節約も考慮してくれます。今や他にも同じことができるスマートサーモスタットがいろいろ出てきていますが、Nestこそその先陣を切ったデバイスであり、スマートサーモスタットというカテゴリを切り拓いたパイオニアなのです。