より安全な自動運転車のための研究開発が進む中、アメリカのスタンフォード大学のラボが公開した走行実験映像がネットをにぎわせている。
制御機能の試験データを収集するため曲がりくねったコースを走るのはなんと1981年製のデロリアン。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でタイムマシンになったあの車種が、現代のEV車に変身。華麗なドリフトを見せつけているのだ。
【他の記事を見る】イギリスの高級車メーカー「ジャガー」が生産開始した電気自動車がレトロフューチャーっぽい!
Beyond the Limits: MARTYkhana
あのデロリアンが電気自動車に!
DMC-12というモデル名でも呼ばれるこの車は、かつてアメリカに存在したデロリアン・モーターカンパニーが製造・販売したもので、その期間は1981~1982年のわずか2年だった。
そのデロリアンを一躍有名にしたのが1985年に大ヒットしたSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だ。
映画内でタイムマシンとして主人公マーティを過去や未来に運んだデロリアンは世界的に名を馳せる車になった。
そしてこのほど、その壮大なストーリーを想起させるカスタマイズが実現。1981年製でありながらEVに生まれ変わったデロリアンはMARTY(マーティ)と名付けられた。
驚異的なドリフト能力をもつMARTY
スタンフォード大学のダイナミックデザインラボに籍を置くジョン・ゴーとトゥシャール・ ゴエルに強化されたMARTYは全自動のドリフト走行が可能。
今回の実験では大胆なドリフトを披露しながら、複雑なコースをみごとに走破した。
研究は高速かつ複雑な運転条件のもとで行われた。
チームはトップドライバーでなければクリアできない複雑なコースを設定。PCを携えた機械設計エンジニアや学生がMARTYに乗り込み、その走行を見守った。
より安全な自動運転に役立つ運動制御データ
彼らが持ち込んだPCはMARTYの反応を測定し、運動制御データを収集する。
数十回の走行で集めたデータはソフトウェアに変換され、急に道路を横切る歩行者を回避する機能に役立つと期待されている。
現在路上を走る自動運転車は、車線からはみ出さずに走ったり、他の車と適切な車間距離を維持するなど、単純な運転用に設計されている。
だがラボが目指すのは緊急時の操縦や、氷や雪で滑りやすい路面にも対応する車だ。
「私たちはタイヤと道路の摩擦を最大限に活用できる安全な自動運転車を開発したいと思っています。物理法則の範囲内で避けられる事故を確実に回避できる車が欲しいんです」