美肌サプリなどに使われるこんにゃく芋の成分が、アルツハイマー予防に効果がある(AC)
認知症のひとつ「アルツハイマー病」の予防に、こんにゃく芋から精製したセラミド成分が効果を発揮することを、北海道大学大学院の研究グループがマウスを使った実験で発見した。機能性食品や新薬の開発が期待される。
アルツハイマー病の発症にはさまざまな要因があるが、そのひとつとして、脳内に「アミロイドβ(ベータ)ペプチド」というタンパク質の蓄積があげられる。
最近の研究で、アミロイドβの蓄積は、アルツハイマー病発症の15年以上前から始まっていることが突き止められていることから、アミロイドβの蓄積を抑制することが予防につながると考えられている。
アミロイドβの蓄積をどう抑制するか
大脳皮質と脳血管に蓄積したアミロイドβ(茶色い部分)(Wikimedia Commons)
北大大学院先端生命科学研究院の五十嵐靖之招聘客員教授と湯山耕平特任准教授らのグループは、神経細胞から分泌される「エクソソーム」という微小な物質には、アミロイドβと結合することで、分解除去する能力があることを発見。
エクソソームを多く分泌させるものを探した結果、美肌目的のサプリメントや飲料に配合されているこんにゃく芋のセラミドに着目。
機能性食品や新薬の開発へ
脳にアミロイドβが蓄積するよう改変したマウスを使った実験の模式図(北海道大学)
脳内で過剰にアミロイドβを作るよう遺伝子改変したアルツハイマー病のマウスに、こんにゃく由来のセラミドを1日1㎎ずつ2週間にわたって与えた後、大脳皮質や海馬を調べた結果、アミロイドβの蓄積が減少しているのを確認した。
さらにこんにゃくセラミドを投与したマウスでは、神経細胞間で信号を伝えるシナプス障害が抑制され、認知記憶の実験でも回復がみられたという。
こんにゃく由来のセラミドが、アルツハイマー病を予防する機能性食品や新薬の開発につながる可能性があるとして、今後は人間を対象にした臨床試験で検証する計画を進めている。なおこの研究成果は、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に今年11月15日付で掲載された。