夜空に瞬く不可思議な光――それは宇宙人がコミュニケーションをするためのレーザーなのかもしれない。
永遠に変わらないかのように思える夜空に浮かぶ星々の姿だが、その中には不意に忽然と消えてしまったものもある。今、天文学者はその正体を解明するべく調査を進めている。
この研究には、これまでの宇宙の常識を一変させてしまうような、「新しい天体物理学」の扉を開く可能性が秘められているそうだ。
「発見が示唆するだろう範囲は、従来の天体物理学の分野から、より異端な高度技術文明の捜索にまで及ぶ」と『Astrophysical Journal』(12月12日付)に掲載された研究論文で述べられている。
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失敗した超新星か? それとも宇宙人による活動のサインか?
国際的な研究グループによるこのプロジェクトは、「Vanishing & Appearing Sources during a Century of Observations(VASCO/1世紀の観測において消失・出現したソース)」という。
そのVASCOでは、1950年代から撮影されてきた宇宙の画像データと現代の観測データを比較し、天の川から消えてしまったらしい星を探している。
「実際に消えてしまった星やどこからともなく出現した星の捜索は、貴重な発見につながるでしょう。もちろん今、私たちが知っている物理学の範疇に収まらない発見もあるでしょう」とスペイン、カナリア天体物理研究所のビアトリス・ビジャロエル氏は話す。
通常、死期に近づいた星は非常にゆっくりと変化し、やがては白色矮星になるか、超新星爆発によって突然の死を迎える。
ゆえに忽然と姿を消した星は、それとは違う何か別の現象を示していると考えられるのだ。これまで知られていなかった天文学的現象かもしれないし、もしかしたら地球外生命の活動である可能性すらある。
このような突然の星の消失が自然現象であると考えるのならば、それを説明しうる唯一の現象は「フェイルド・スーパーノヴァ(失敗した超新星)」と呼ばれるものだ。
これは非常に質量の大きな星が崩壊したときに、爆発を周囲に放出することなくブラックホールになるという理論的に予測された現象である。
あるいは、それが本当に地球外生命の活動であるなら、星間通信用のレーザーや、ダイソン球である可能性がある。ちなみにダイソン球とは、恒星を卵の殻のようにおおってエネルギーを得る理論上の構造物のことだ。
急激に数千倍も明るさを増すダイナミックな天体
これまで15万個ほどの天体が調査対象として特定され、そのうち15パーセントがすでに分析された。
中でも注目されるのは、研究チームが「レッド・トランジェント」呼ぶ100個ほどの天体だ。そのうちのいくつかは、燃え上がって急激に数千倍も明るさを増すなど、非常にダイナミックな振る舞いを示しているという。
もちろん、これらの現象が人工的なものである可能性は否定できないが、ビジャロエル氏は「やや極端ではあるものの、自然な天体物理学的ソース」に由来するものだろうと述べている。
だが調査するべき天体はまだまだたくさん残っている。ビジャロエル氏は民間の科学コミュニティや人工知能などを利用することで解析を迅速に進めたいと考えているそうだ。
References:Disappearing Light Source [image] | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo
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