地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
服部時計店(諏訪精工舎、現在のセイコーホールディングスを中心とするセイコーグループ。以下、セイコー社)が世界初の水晶発振式クォーツ腕時計「セイコークォーツ アストロン35SQ」を発売しました。
それまで、クォーツ時計としては、スイスのCEH/電気時計研究所(Centre Electronique Horloger)による試作品ベータ1だけしか存在していなかったので、製品としては世界初でした。
1日の誤差は1秒未満と当時としては高精度でしたが、価格のほうも45万円と超高額でした。
セイコー社のアストロン。写真は1970年代のイギリスモデルと思われる。初代アストロン35SQの画像はこちら
クォーツ(水晶)は石英(六方晶系の石英)のことで、電圧を加えると水晶が圧電体となって変形が生じます。この働きを固有の周波数帯で微少弾性振動するように電圧:電流比(リアクタンス)を持たせたのが水晶振動子(水晶発振子)で、単体素子としては密閉(ハーメチック・シールド)された容器内に、2つの電極が水晶片をはさんだ構造になっています。
一般的には、半導体(トランジスタ)、静電器(コンデンサ)との組み合わせで、発信条件を規定した発振回路を構成します。水晶振動子が登場するまでは、この部分をコイルだけで構成するのが一般的でしたが、それに比べて格段に精度が高いため、時計のほかにも無線機やコンピュータなどに応用されました。